MSの検索広告キャッシュバック、アナリストも評価
利益を上げるために出費するという古典的な商法を活用し、米MicrosoftはLive Search cashbackを導入した。同社の検索サービスLive.comで製品を見つけて購入したコンシューマーに現金を支払う。
Microsoftは検索広告市場で首位のGoogleに相当の差を付けられており、新サービスはこの差を縮める一助とする狙い。米市場調査会社comScoreによると、検索市場でGoogleのシェアは現在60%、これに対してMicrosoftはわずか10%にすぎない。
Microsoftが米Yahoo!を1株33ドルで完全買収することに失敗した後、Yahoo!の検索事業を買収する交渉を行っていると報じられる中、今回のサービスは5月21日にMicrosoftの広告イベントadvance08で発表された。
Live Search cashbackの仕組みはこうだ。eBay、Circuit City、Barnes & Noble.com、Overstock.com、Searsなどの小売業者約700社は、Live Search cashbackを通じて顧客が商品を購入するたび、MicrosoftにCPA(成果1件当たりの報酬)を支払う。CPA料金は小売価格に対する一定の割合が定められている。取引が完了すると、Microsoftはこの料金を現金で消費者に還元する。
ユーザーは最初の買い物をする時にLive Search cashbackアカウントを作成し、同プログラムで商品を購入するたび、広告料に基づく返還金がアカウントに支払われる。買い手はその後、小切手、銀行振り込み、eBayの電子決済サービスPayPalなどを通じ、商品購入の60日後にMicrosoftから返還金を受け取る。
例えば、Live Search cashbackサービスを通じてBeachCamera.comでキヤノンのデジタルカメラPowerShot A470を買ったユーザーが払う金額は109.50ドル。Microsoftはこの金額の2%、すなわち2.19ドルをユーザーに払い戻すとサイトでは述べている。
検索とeコマースの連動
この技術は、Microsoftが昨年10月に買収した価格比較サイトJellyfishがベースとなり、1000万点以上の商品を網羅している。Microsoftはまた、予想技術を使って複数の旅行サイトの中から最適の値段と日程を推薦するLive Search Farecastも導入した。Microsoftはいずれこの旅行サービスでも広告料キャッシュバックのオプション導入を検討するという。
ユーザーがネット検索を使って商品を探し買い物をする現代にあって、Microsoftは両サービスで検索と電子商取引のこの強力な関係の活用を狙っている。EMarketerによると、ネットの小売取引の68%は検索エンジンで始まっており、米国のネット小売りは2012年までに3350億ドル規模に達する見通しだ。
同社のLive Search cashbackについてはアナリストも明るい展望を描いている。IDCのアナリスト、スーザン・フェルドマン、キャロライン・ダンソンの両氏は5月21日の報告書で、Microsoftは消費者へのキャッシュバックにより、既存の検索広告バリューチェーンを打ち破りたい考えだと指摘した。
「広告とキャッシュバックを連動させることで、広告主は乗り換えを促すために、広告出費の相当部分をユーザーへのキャッシュバックに振り向けたいと思うだろう。(同サービスで)直ちに行動が変化することはないかもしれないが、Microsoftは成果に大きな関心を寄せる多数の電子商取引パートナーを獲得する。うまくいけば、消費者をLive Searchに引き寄せる一助となるだろう」
シェア獲得につながるか
Microsoftは消費者が報酬を受け取り現金化できるアカウントの提供により、長期的にはGoogleやYahoo!に対し優位に立てる可能性もある。Microsoftは消費者の好みや行動に関する情報を把握・収集できるからだ。
Microsoft Watchのジョー・ウィルコックスも5月21日の記事でこのサービスを評価し、MicrosoftがYahoo!本体あるいは検索事業を買収する代替策として好ましいとして次のように記した。
「Yahoo!株主ではなく既存または潜在顧客にキャッシュバックするというのは、Microsoftが検索でシェアを稼ぐ方法としてはるかに優れている。Microsoftの出費もずっと少なくて済む」
しかしウィルコックスは興味深い問題も提起している。もしサービスがうまく機能しなかった場合はどうなるのか。「もし商品の購入が買い手のLive Search cashbackアカウントに反映されなかったら、顧客サービス問題は誰の管轄になるのか。小売業者は買い手の苦情など聞きたがらないが、プロセスがうまく行かなければ苦情が出るのは必至だ」
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