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「権利者への誤解を解きたかった」――「ダビング10」合意、椎名和夫さんに聞く

» 2008年06月20日 14時30分 公開
[ITmedia]

 権利者側とメーカー側の意見が対立し、暗礁に乗り上げていた「ダビング10」だが、6月19日に行われたデジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会で権利者側が譲歩し、7月5日ごろをめどに始まることが決まった。

 権利者側はなぜ譲歩したのだろうか。「膠着(こうちゃく)状態は誰の利益にもならない。権利者がダビング10を人質に取っているというとらえ方を変えたかった」と実演家著作隣接権センターの椎名和夫さんは話す。

 「検討委員会で、ダビング10と補償金の問題を切り離そうと権利者側から提案した。北京オリンピックを前に、権利者とメーカーが対立しているせいでダビング10がスタートできないという事態は、消費者の利便性を考えても良くない。ダビング10の合意にあった『権利者への対価の還元』の問題は解決されていないが、膠着状態は誰の利益にもならない」

 権利者への対価の還元は、補償金以外の手段で求めていく。「検討委員会の報告書には、補償金以外の権利者への対価の還元手段について、情報通信審議会で議論していくことを求めた。補償金以外で対価が得られるなら、ダビング10と補償金とを切り離すことができる」。補償金についての議論は、文化審議会で引き続き行う。

 ダビング10をめぐっては、対応機器を私的録音録画補償金の対象にするかどうかで著作権団体とメーカー側が対立。予定していた6月2日にスタートできなかった。

 事態の打開を図るため、文部科学省と経済産業省が17日までにBlu-ray Disc(BD)とBD録画機に補償金を課すことで合意。メーカー側は歓迎したが、権利者側は「Blu-ray課金とダビング10は別問題で、この合意はダビング10の議論を前進させるものではない」などと表明していた

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