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頭ひんやり“空調枕”で寝苦しい夜を乗り切れ

» 2008年07月15日 12時22分 公開
[宮本真希,ITmedia]
画像 エアピロー

 夜中に暑くて目が覚める。枕カバーも汗でしっとり――こんな季節が今年もやってきた。エアコンをつけて寝るのも1つの解決策だが、洞爺湖サミットも開かれエコに関心が高まっている今年は、もう少し省エネに過ごしたいものだ。

 そんな時は株式会社空調服の出番。長袖なのに涼しく過ごせる作業着「空調服」や、ひんやり快適に眠れるベッドパット「風眠」などを開発・販売する同社から今年、頭を冷やしてくれる枕カバー「エアピロー」が登場した。

空調枕「エアピロー」とは

画像 エアピローを広げたところ

 エアピローは、通常の枕をくるんで使う長方形の枕カバーだ。頭が当たる部分にファスナーで開閉できる長方形のポケットが付いており、中には厚さ1センチの柔軟なプラスチック製メッシュシート「スーパースペーサー」とファンが1つ入っている。

 スペーサーは、PCのキーボードのキートップを中空にしたような形で、枕と頭の間にすき間を作る役割。すき間にファンで風を送り込むことで頭の下を風が通り、ファンの反対側にある穴から抜けていく。頭からの汗をファンで乾かし、気化熱で頭を冷やして涼しさを保つ仕組みだ。


画像 エアピローの中にはスーパースペーサーが入っている

 ファンの回るスピードは強弱2段階で調節可能。単三形電池4本で1日8時間×40〜50日間使えるという。ファンとスペーサー、電池を取り外し、カバーを丸洗いすることもできる。

ファンの騒音は大丈夫?

画像 ファンのふたを取るとこんな感じ

 寝てみると確かにひんやり涼しい。スペーサーは見た目はごつごつしているが、普段固めの枕を使っている記者は違和感も覚えなかった。「エアピローを使い始めてからは、暑い夜に冷たいところを求めて枕をひっくり返すこともなく、目覚めると寝たときと同じ場所に枕がある」と、同社の市ヶ谷弘司社長は話す。

 頭の真下にファンがあると、気になるのは騒音だ。静かな部屋でファンのすぐそばに耳を近づけると「ブーン」と音が聞こえるが、エアピローの上に頭を置いて寝た状態ならほとんど聞こえず、記者は全く気にならなかった。


画像 ファンの取り外しに苦労する市ヶ谷社長

 それでも「音に敏感な人は気になるかもしれない」と、今年は「有償試作品」という位置付けでエアピローを売り出すことにした。価格は、三洋電機の充電池「eneloop」付きで1万2000円。43(縦)×63(横)センチのサイズの枕で使える。

 試作品はファンを取り外しづらく、洗濯しにくいため、エアピローの上に重ねて汚れを防ぐカバーも同梱する。来年までには簡単に取り外せるように工夫し、静音化するなど改良していく。

 来年には同社のほか、国内で枕の売り上げナンバー1のメーカーからも、スペーサーを使った枕を発売する予定という。

スーパースペーサーを主力に

画像 枕の裏側

 昨年発売した“空調ベッド”こと「ベッドパット風眠」はこれまでに3000台売り上げた。今年6月には高級布団で有名な西川産業が、スペーサーを使った敷き布団「AEROSLEEP」を発売。来年には2社から、スペーサーを組み込んだベッドや布団が登場する予定だ。


画像 市ヶ谷社長

 今後は空調服よりもスペーサーを使った製品を主力に据えたい考え。風眠やエアピローは室内で使われることが多いため、空調服に比べてサイズやデザインをそろえる必要がなく、開発や製造の手間を削減できるためだ。

 スペーサーのOEM供給も続けていく。現在の売り上げの6割が空調服、4割がスペーサーを使った製品だが「来年には逆転するのでは」と市ヶ谷社長は話している。

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