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「Google-Yahoo!は競争をなくす」――Yahoo! CEO発言根拠にMSが反対

» 2008年07月16日 16時56分 公開
[Roy Mark,eWEEK]
eWEEK

 米Googleと米Yahoo!の広告提携により、Yahoo!と米Microsoftはオンライン広告市場で有力な勢力ではいられなくなる――Yahoo!のジェリー・ヤンCEOがMicrosoft関係者にこう語ったと、Microsoftは7月15日にGoogleとYahoo!の提携案を調査する上院公聴会で主張した。

 GoogleとYahoo!は6月12日に、Googleの検索広告およびコンテンツ連動型広告をAdSense for SearchおよびAdSense for Contentプログラムを通じてYahoo!の検索エンジンと連係させる非独占的提携を結んだ。両社は米国で1、2位を占める検索エンジンで、この提携がオンライン広告市場の競争に影響することはないと主張している。

 だが、Microsoftの法務顧問ブラッド・スミス氏によると、ヤン氏らYahoo!関係者は6月8日にサンノゼの空港でMicrosoft関係者と会い、提携について話し合った。このときヤン氏は競争の排除について話したという。

 「ジェリー・ヤン氏は、現在の検索市場は基本的に二極化していると言った。一方にはGoogle、もう一方にはYahoo!とMicrosoftがあり、どちらもGoogleと競合している」とスミス氏。「われわれがGoogleと提携すれば、Yahoo!はGoogleサイドの一部になる。Microsoftは自力ではもう一方の側に残っていられない」とヤン氏は話したという。

 宣誓の下での証言であることを念押しされたスミス氏は、「ヤン氏が言ったことを正確に述べた」と語った。

 8日の会合に参加したYahoo!の法務顧問マイケル・キャラハン氏は、スミス氏はヤン氏の発言を誤解していると述べた。アーレン・スペクター上院議員が、ヤン氏は実際に何を言ったのかとキャラハン氏に詰め寄ると、同氏は「思い出せない」と答えた。

 スミス氏は、ヤン氏は「絶対に」そう言ったと主張した。

 ヤン氏がどう言ったのであれ、「Yahoo!は検索事業をやめない」とキャラハン氏は断言した。

 キャラハン氏は議員らに、Yahoo!は「急速に成長するオンライン広告世界で自らをGoogle、Microsoftなどの競争相手として強化するために」Googleとの提携を受け入れるほかないと感じたと語った。

 同氏はまた、Googleとの契約は非排他的であり、「Googleの広告をサイトに掲載するかどうか、掲載する方法、場所、時間」については完全にYahoo!が判断するとも述べた。

 同氏は、Yahoo!は以前にも検索をアウトソーシングしたことがあると指摘。2000年以前に、Yahoo!はさまざまな企業に検索を任せていた。2000〜2004年には、アルゴリズム検索をGoogleに、検索広告をOvertureに委託していた。

 「2003年と2004年に、当社は検索と検索広告を自社でまかなうという戦略的決定をした」とキャラハン氏。「Overtureを買収し、検索広告を統合した。それからInktomiを買収して、同じようにアルゴリズム検索を統合した」

 上院反トラスト小委員会の議長を務めるハーバート・コール上院議員は、MicrosoftのYahoo!買収のための取り組みを指摘した。

 「GoogleとYahoo!の提携に反対しているのは、MicrosoftがYahoo!を買収したいからではないのか」とコール氏は尋ねた。「われわれが今取り上げている(Yahoo!とGoogleの)取引と同じくらい、(MicrosoftのYahoo!買収は)反競争的ではないか?」

 スミス氏は、規模の問題だと答えた。

 「小さなナンバー2(Yahoo!)ともっと小さなナンバー3(Microsoft)を統合すれば、巨大なナンバー1(Google)と釣り合うだけのクリティカルマスに達するだろう。より市場の競争バランスが取れるようになる」(同氏)

 Googleの最高法務責任者デビッド・ドラモンド氏は、Yahoo!が直面している2つのシナリオを考えることが重要だと反論した。

 「どちらのシナリオがいいだろうか? Yahoo!がGoogleと提携して売り上げの大部分を確保して同社に再投資するか、あるいはYahoo!がMicrosoftに飲み込まれて競争の場からYahoo!がなくなるか」とドラモンド氏は問い掛けた。

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