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指先サイズの顕微鏡、米大学が開発

» 2008年07月29日 14時49分 公開
[ITmedia]

 指先に載るほど小さな顕微鏡を、米カリフォルニア工科大学が開発した。

 この極小顕微鏡はレンズを使わないが、最高品質の顕微鏡並の拡大能を持つと同校の研究者は述べている。10ドル程度で量産可能で、血液を分析してマラリアを発見したり、水質検査で寄生虫を見つけるなど野外で利用できるという。

 「optofluidic microscope」と呼ばれるこの顕微鏡は、従来のコンピュータチップ技術とマイクロ流体工学を組み合わせたもの。25セント硬貨の4分の1ほどの大きさで、物体を撮像する部分は硬貨に描かれたワシントンの肖像画の鼻程度の大きさという。

 この顕微鏡はCCDセンサーを金属層で覆った単純な構造をしており、金属層には直径100万分の1メートル未満の小さな穴が5マイクロメートル間隔で並んでいる。金属層の上には、分析する標本を含んだ流体を流す経路がある。標本を分析する際には、顕微鏡全体に上から照明を当てる(太陽光で十分という)。標本を流し込むと、標本中の細胞や小組織が金属層の穴をふさぎ、照明がセンサーに届くのを遮る。これがピンホールカメラのように光と影による像を結ぶ。

 「とにかく小さい。携帯電話にも載せられる。太陽光のみでも照明として使えるため、第三世界でも役に立ちそうだ」とカリフォルニア工科大学の電気工学およびバイオ工学助教授チャンフェイ・ヤン氏は語る。同氏はこの顕微鏡の量産について、バイオテクノロジー企業と話し合っているという。

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