三菱電機は8月28日、手のひら程度の大きさという超コンパクトな電子加速器を開発したと発表した。電子を加速し、高エネルギーかつ発生点サイズが微少なX線を発生させることが可能で、非破壊検査や医療用診断装置の光源として期待できるとしている。
産業用の非破壊検査では、より厚い物体を対象とする用途が拡大しており、高エネルギーなX線を発生するコンパクトな装置が求められているという。X線源として一般的なX線管球のエネルギーは300keVが限界な一方、加速器は990keVと高エネルギーながら装置の大きさが1メートルを超えるため、狭い場所などでの使用が難しかった。
またX線透視では、屈折率の差を利用して物質境界をくっきりと見せる「屈折撮像」が医療用に注目されているが、発生点サイズが小さいか、平行にそろったX線が必要なため、数メートルから数百メートルと装置が大きな放射光施設でしか研究ができなかったという。
三菱電機が開発した「ラップトップ加速器」は、独自の加速手法と電磁石の開発で、外径15センチ・重さ10キロという手のひらサイズを実現。試作機は990keVまで電子を加速することに成功しており、従来なら全長100センチ・重さ350キロ程度の加速器が必要だったという。
従来のX線源の発生点径が100μメートル程度だったが、ラップトップ加速器では、先端が7μメートルの針状のX線ターゲットに電子ビームを次々に衝突させる制御に成功し、発生点径が10μメートルと微少なX線の発生に成功した。
今後、装置製造メーカーに提案し、大出力化などを進めて実用化を目指す。
浜松ホトニクスは、親指サイズの超小型分光器を開発し、10月からサンプル出荷を始める。
可視光(340ナノ〜750ナノメートル)を測定できるデバイス。MEMS技術に光技術を組み合わせ、内製するイメージセンサーと光学素子を親指サイズにまとめた。センサーとスリットを一体構造にし、レンズに回折格子を直接成形するなどし、従来比で3分の1以下の小型化を実現した。
携帯型計測機器や、プリンタや印刷機、ディスプレイの色管理など、各種機器への組み込み向くとしている。
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