日本ビクターとケンウッドが10月1日に経営統合し、共同持ち株会社「JVC・ケンウッド・ホールディングス」が発足した。事業会社としてのビクターとケンウッドに加え、両社が合弁で設立したカーエレクトロニクス専業のJ&Kテクノロジーズが傘下に入る。
グループ最大の課題は、赤字が続くビクターのテレビ事業だ。国内の家庭用テレビ事業を大幅に縮小して高付加価値品に限定し、欧州市場では船井電機との協業を加速するといった合理化策を4月に発表。「大きな決断を行った」(JVCケンウッドHDの河原春郎会長)成果が現れ、赤字は大幅に縮小しているという。
「日本市場に打った手はうまくいった。今第3四半期のテレビ事業は損失が少なく、第4四半期にはブレイクイーブンになる」(河原CEO)。来年度の第1四半期には四半期ベースで赤字を解消する計画だ。
米国では1年前倒ししてテレビ事業の改革を行ってきており、「プレミアムプロダクトの導入がうまくいった」(ケンウッドHDの佐藤国彦社長)という。ただ今下期は金融不安の影響で当初の計画より下振れする可能性が高く「厳しいことは想定に入れている」(河原会長)。欧州とアジア地域の販売に力を入れてカバーしていく考えだ。
10月からの新体制下で、グループの事業分野は(1)カーエレクトロニクス、(2)ホーム&モバイル(ディスプレイ、ビデオカメラ、ホームオーディオ)、(3)業務用システム、(4)エンタテインメント――となる。
2008年3月期の売上高比率で最大となる分野はホーム&モバイル(43%)、次がカーエレクトロニクス(18%)。新会社のJ&Kテクノロジーズが担当する同分野を成長のエンジンにする考えだ。
ビクターとケンウッドは上場廃止し、JVCケンウッドHDが10月1日に東証1部に上場したが、同日の終値は69円とPBR1倍を大きく割り込んだ。「株価はいかにも安すぎる。サプライズな安さだ」と河原会長は落胆する。
株価がさえない理由は「ディスプレイ事業の成り行きに心配していただいたり、サブプライム問題の影響が読めないためではないか」と推測。「統合会社の価値で株価を付けてほしい」と話した。
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