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富士通、Siemensとの合弁会社を完全子会社化 「真のグローバル化の第1歩」

» 2008年11月04日 19時11分 公開
[ITmedia]
photo FSC完全子会社化を発表する野副社長

 富士通は11月4日、独Siemensとの合弁会社・Fujitsu Siemens Computers(FSC)を完全子会社化すると発表した。Siemensが保有するFSC株式50%分を4億5000万ユーロ(約552億円)で買い取る。FSCは富士通のIAサーバ「PRIMERGY」シリーズの開発の中核となっており、事業の選択と集中を進めたいSiemensと、グローバル化を進めたい富士通の思惑が一致した。

 2009年3月31日までは現体制を維持し、関係政府機関の承認を得た上で4月1日付けで完全子会社化する。

 FSCは1999年に富士通とSiemensの折半出資で設立。PCやサーバ、ストレージなどの製品を製造販売しており、2007年度の売上高は66億1400万ユーロ、最終益は7200万ユーロ。

 シーメンスはエネルギー、医療、産業インフラの3分野に集中する方針を打ち出しており、携帯電話事業や半導体事業などを相次いで売却している。合弁契約が2009年に切れるのを機に、グローバル化を進める富士通が完全子会社化することで合意した。

 会見した富士通の野副州旦社長は「グローバル化を実現するための第1歩。プロダクトベースのグローバル化が手っ取り早く確実な1歩を築ける」と話し、「数年で投資は回収してみせるという共通認識で経営に当たっていく」と意気込んだ。

 FSCはIAサーバ「PRIMERGY」シリーズの開発の中核を担っており、富士通が直轄することで、今後も成長を見込めるIAサーバ事業を強化する。「サービスとプロダクトの両輪は日本ではできていたが、海外では不十分だった」。09年度に海外売上高比率を40%超に引き上げる目標達成に向け、FSCの開発力を国内・海外事業に生かしていく。

 Gartnerによると、富士通とFSCのサーバ市場シェアは3.6%(2008年4〜6月期)。合計で6割を占める米IBMと米Hewlette-Packardの背中は遠いが、「まず2けたシェア」を目標に掲げていく。

 Siemensブランドが外れることがマイナスに働く可能性もあるが、「その分富士通のプロダクト力が真に問われてくる」と気を引き締める。富士通は社名がSiemensから由来するほど関係が深く、「今後もITの大きな顧客」として関係を続ける(「ふじ」は「古河」の「ふ」と「ジーメンス」の「じ」から来ている)。

 低迷している個人向けPC事業をFSCがLenovoに売却するとの観測が流れたがこともあったが、野副社長は「私は交渉したことはないし、現時点で交渉している事実はない」と否定した。ただ、同事業の将来は下期中に検討する。

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