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地上を撮影する人工衛星を軽量・低コストに NECが開発中

» 2008年11月12日 16時58分 公開
[宮本真希,ITmedia]

 月周回衛星「かぐや」を開発するなど宇宙事業に積極的なNECが、プライベートイベント「iEXPO 2008」(11月13日まで、東京国際フォーラム)で、地上の写真を撮影する小型人工衛星の模型を展示している。実物は開発中で、従来の約10分の1に軽量化し、打ち上げコストを抑える計画だ。

 前方に反射式望遠鏡、中央部に光学センサーを搭載し、高度500キロメートルの宇宙空間から「スキャナのようなイメージ」(説明員)で地上の写真を撮影する。写真は人や車の形が認識できる精度になる予定で、災害時に広範囲の被害状況を把握するといった使い方を想定する。


画像 開発中の小型人工衛星の模型
画像 衛星が撮影する写真のイメージ

画像 iEXPOには宇宙服で記念できる撮影コーナーも。実際に着るのではなく、裏側から顔を出して着た気分を味わう。表面の材質は実物と同じという

 地上を撮影できる衛星は従来、質量が数トンあったというが、500キロまで軽量化することに挑戦。部品の小型・軽量化を進めている。軽量化に成功すれば、打ち上げコストを数分の1に抑えられるという。

 宇宙では部品が壊れても修理できないため「衛星には二重三重に故障を補う仕組みを搭載している」(説明員)が、1つ1つの部品の信頼性を高めることで、部品数の削減に努めている。

 衛星には、同社が研究開発を進めている「標準バス」を採用する。標準バスは、電源や通信、姿勢制御システムなど衛星の基本機能を搭載したモジュール。ほかの衛星を開発する際にも共通して利用できるため、衛星を低コスト・短期間で開発できるようになるという。

 2010年までに完成させ、2011年までに打ち上げる計画だ。

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