月周回衛星「かぐや」を開発するなど宇宙事業に積極的なNECが、プライベートイベント「iEXPO 2008」(11月13日まで、東京国際フォーラム)で、地上の写真を撮影する小型人工衛星の模型を展示している。実物は開発中で、従来の約10分の1に軽量化し、打ち上げコストを抑える計画だ。
前方に反射式望遠鏡、中央部に光学センサーを搭載し、高度500キロメートルの宇宙空間から「スキャナのようなイメージ」(説明員)で地上の写真を撮影する。写真は人や車の形が認識できる精度になる予定で、災害時に広範囲の被害状況を把握するといった使い方を想定する。
地上を撮影できる衛星は従来、質量が数トンあったというが、500キロまで軽量化することに挑戦。部品の小型・軽量化を進めている。軽量化に成功すれば、打ち上げコストを数分の1に抑えられるという。
宇宙では部品が壊れても修理できないため「衛星には二重三重に故障を補う仕組みを搭載している」(説明員)が、1つ1つの部品の信頼性を高めることで、部品数の削減に努めている。
衛星には、同社が研究開発を進めている「標準バス」を採用する。標準バスは、電源や通信、姿勢制御システムなど衛星の基本機能を搭載したモジュール。ほかの衛星を開発する際にも共通して利用できるため、衛星を低コスト・短期間で開発できるようになるという。
2010年までに完成させ、2011年までに打ち上げる計画だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR