福岡県弁護士会(田邉宜克会長)はこのほど、Googleマップのサービス「ストリートビュー」の中止を求める声明をGoogleの日本法人・グーグルに送付した。
声明では、ストリートビューに写っている人の顔にぼかしがかかっているものの、「撮影場所が明確に特定できるため、対象者を知っている人には特定が可能」であり、撮影カメラの位置も歩行者視点から1メートル高いため「民家の中をのぞき見られる画像も散見される」と指摘した。
また判例では、公道上であっても、個人の私生活上の自由の一つとして、何人もその承諾なしにみだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由(肖像権)が認められている(最判昭44.12.24,京都府学連事件判決、東京地判平7.9.27など)。
その上でストリートビューは多数の市民を根こそぎ撮影している、事前に公表目的での撮影を説明していない、撮影場所が特定できる状態で長期間画像がさらされる、電子データは容易かつ半永久的に2次利用されうる──といった問題を指摘。Googleには多くのユーザーが集まるため、「プライバシー権侵害の程度は大きい」とした。
遠隔地の画像を簡単に見られるという便益はあるが、「多数の市民に対するプライバシー権侵害を強いても仕方がないと言えるほどの対立利益があるとは言えない」。またユーザー申告で事後的に削除する仕組みも「すべての被害者が問題画像に気付く保証はなく、削除されたとしても2次利用の被害がありうるし、最初からプライバシー権侵害がなかったことにはならない」。問題点の抜本解決を早急に行い、できないならストリートビューを中止するよう求めた。
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