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パナソニックと三洋、資本・業務提携契約を正式締結

» 2008年12月19日 21時45分 公開
[ITmedia]

 パナソニックと三洋電機は12月19日、資本・業務提携契約を締結したと発表した。パナソニックは今後、1株131円で三洋株式の公開買い付け(TOB)を実施し、過半数を取得して子会社化を目指す。連結売上高で10兆円を超える国内最大の電機メーカーが誕生する見通しになった。

 米Goldman Sachs(GS)など、普通株換算で三洋株式の約7割を保有する金融3社はTOBへの応募を前提に検討するとしているおり、TOBは成立する見通し。TOBに必要な買収額は金融3社分で約5600億円。パナソニックは手持ち資金に加え、来年1月以降、最大で4000億円の普通社債を発行してまかなう計画だ。

 三洋の上場は維持する予定。TOBの結果、上場廃止基準に抵触する場合は回避策を検討するとしている。

 今後、両社でワーキンググループを発足させ、三洋子会社化後に早期にシナジーを発揮させるための取り組みを具体化する。シナジー発揮に向け、パナソニックは1000億円規模の投資も検討する。特に太陽電池事業や2次電池事業などでのシナジーにより、2012年度に営業利益ベースで800億円の増益効果を目指す。

1株131円は「シナジーを見込めば妥当」

 「足下の景気は大変厳しいが、そんな時こそ両社で協力してグローバル競争に立ち向かい、グローバルエクセレンスを目指していく」──同日会見したパナソニックの大坪文雄社長は意気込んだ。

 買収額ではGSとの交渉が一時難航したが、資金回収を急ぎたいGSが折れる形で決着した。資産査定の結果、「三洋単独の価値はそう高いものではなかった」が、シナジーが生む将来価値を合算した結果として「1株131円は妥当」だと強調した。

 増益効果として見込む800億円の内訳は、太陽電池や2次電池などエナジー事業で400億円、その他事業や経営体質の強化などで400億円。「三洋単独では太陽電池の事業開発や増産には限界があり、パナソニックがサポートできる」(大坪社長)。パナソニックの燃料電池技術とのハイブリッド化なども含め、住宅やビル全体のエコ化に対応できる「唯一無二の企業グループになる」と期待する。

 パナソニックは業績予想の下方修正を迫られるなど、世界的な景気悪化の影響が直撃している中での巨額の買収となるが、大坪社長は「今は今の苦しさを考えながら将来の成長を考えなければならない。足下を固めつつ、来年、再来年に向けた成長のエンジンとして三洋を選んだ」と、買収が成長に不可欠だと強調した。増益効果から、投資は5〜7年で回収できるとしている。

 三洋電機の佐野精一郎社長は「極めて厳しい半導体など、構造改革は三洋としてやり切りたい。雇用は最大限配慮するが、事業あっての雇用だという認識。大坪社長と雇用について、こうでなければならないという話はしていない」と述べ、無条件の雇用保障を求めず、採算が悪化している事業については三洋自らリストラに踏み切る考えを示した。

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