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DellのスマートフォンはiPhoneやBlackBerryと正面対決すべき?

» 2009年02月02日 07時10分 公開
[Nathan Eddy,eWEEK]
eWEEK

 米Dellがもしバルセロナで2月に開かれるGSMA Mobile World Congressでスマートフォンをデビューさせる計画なら、情報リークをうまく食い止めてきたといえるだろう――これまでのところは。Wall Street Journalは1月30日付で、DellがWindows Mobile OSおよびGoogleのAndroidを搭載したスマートフォンの発売を計画していると報道。これで一気にうわさに火が付いた。

 世界第2位のコンピュータメーカーであるDellは2008年10〜12月期のPC出荷が16%減少し、企業向けのスマートフォンで製品の多様化を目指しているのかもしれないと、Endpoint Technologies Associatesのロジャー・ケイ社長はみる。「潜在的可能性に目を向けると、その利点はかなり大きい。携帯電話市場の大きな一画をものにするという有望な筋書きを描ける」(ケイ氏)

 ケイ氏によると、BlackBerryスマートフォンがビジネスパーソンをターゲットとしているように、Dellもエンタープライズ市場を狙っているのかもしれない。Dellは以前にも、サーバなどエンタープライズ向けの製品拡充を図って成功している。Dellが携帯デジタル音楽プレーヤー市場でAppleに対抗することはまずないだろうが(Zingを覚えているだろうか)、スマートフォンならもっと「オープンに」戦える可能性がある。

 OSに関するうわさをめぐっては、ケイ氏は先週、自身がワシントン州レドモンドでWindows Mobileをテーマにした集まりを開こうとしたことに言及した。「(Microsoftは)何も話すことはないと言ったが、バルセロナでは何かやらなければならない。その関係に目を向けると、潮目はMicrosoftの方に戻りつつある。Dellのリスクは、Microsoftの関与によってある程度緩和されるかもしれない」

 Dellのスマートフォンでうわさされる機能の中にはタッチスクリーンもあるが、それは必要ない、あるいは賢明でないかもしれないとケイ氏は言い、iPhoneを念頭に「Appleと真っ向から衝突することはDellにとって得策ではないとわたしは思う」と指摘。「それをやればAppleと直接対決することになるので、それは避けたいはずだ。タッチスクリーンのコストを考えて搭載しないということも考えられる」と話した。

 タッチスクリーン搭載のスマートフォンはメリットよりも問題の方が多いとDellが考えそうな理由はほかにもある。Appleは先週、特許番号7,479,949番の取得が認められた。この特許はピンチする、回転させる、スワイプするといったマルチタッチ機能が対象となる。ワンタッチあるいはマルチタッチの特許が有効なのかどうかという論議はすぐには決着しそうになく、Dellはタッチスクリーン技術採用がはらむ法的問題を考慮した方が賢明かもしれない。

 ケイ氏は言う。「知的財産の面で取るに足らないリスクなど存在しない。(AppleのCOO)ティム・クック氏は、自分たちのインタフェースをモデルにした相手を訴える構えを見せているようにわたしには思える。Dellがそんな争いを好むとは思えない」

 うわさは「かなり強烈」に火が付いているが、煙ばかりでまだそれほど炎は見えないとケイ氏は指摘。「Dellがそれをバルセロナで披露するつもりなら、2週間半待てば披露してくれる。それまでは石のように口を閉ざしているだろう――これ以上のリークがない限りは。リークがあれば、何か言わざるを得なくなるかもしれない。もし良くできたクールな製品なら市場でチャンスはある。リスクがないわけではないが、失敗の代償は、勝った場合の利益に比べれば比率的には小さい」と話している。

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