「前略プロフィール」など「プロフ」と呼ばれる自己紹介サイトが、女子中高生を中心に人気だ。だがプロフをきっかけにしたいじめが報じられているほか、“出会い系”のように使われる恐れもあるなど、危険性もクローズアップされている。
プロフを安全に使うには――東京都葛飾区立中之台小学校で2月19日、前略プロフィールを運営する楽天の社員が小学6年生を対象に授業した。児童が実際に前略プロフでマイページを開設。メリットや危険性などを話し合った。楽天社員が講師として小学生に授業するのは初めての試みだ。
授業を受けたクラスは、児童22人のうち16人が自分の携帯電話を持っている。「小学生に携帯は必要?」と担任の桝田佳江教諭が問いかけると、20人が手を挙げた。児童の間ではメールのやりとりが盛んで、「モバゲータウン」でゲームをしたり、ケータイ小説を読んでいる児童もいるという。学校へ携帯の持ち込みは禁止している。
クラスの半数はプロフを知っていたが、実際に使ったことがある児童はいなかった。日本IBM出身で情報リテラシー教育に教育に力を入れている桝田教諭は「中学に上がると、先輩などから勧められてほとんどの児童がプロフをやるようになるため、進学前の3学期にプロフについて学ぶ授業をしたかった」と話す。
前略プロフは、ニックネームや特技など入力し、自己紹介ページを開設できるサービス。会員数は550万で、そのうち8〜9割は女子中高生が占めている。講師を務めた楽天の竹下知代美さんは、前略プロフとサイン帳を比較し、「プロフには電話番号や携帯アドレスなど個人情報を書く欄がありません」と児童に語り掛ける。
「プロフではなぜ個人情報を書いてはいけないのでしょうか」――竹下さんの質問に対し、児童は「知らない人から電話がかかってくるかもしれないから」「詐欺にあうかも」「チェーンメールが送られてくるかも」「ほかのサイトで悪用されちゃうから」と次々に回答していた。
竹下さんは、プロフがPCでも確認できることを説明し、「世界中でネットを使っている人は15億人います。みんなのページは15億人が見ることができます。危険があることも知って、良い使い方をして下さい」と話す。
児童は実際に携帯を使って、前略プロフで班ごとのページを開設することにも挑戦した。慣れた手つきで携帯をボタンを操作し、ハンドルネームを入力していく。授業後「プロフは危ないこともあるかもしれないけど、自分でもちょっとやってみたくなった」と話している児童もいた。
桝田教諭は「交通事故にあうからと、道路を歩かない人はいません。プロフも同じで、危険か安全か判断して使えば、便利です。サイン帳は狭い範囲でしかやりとりできないですが、プロフで15億人と仲良くなれるかもしれません」と、プロフのメリットについても説明する。
桝田教諭は「教師も保護者も情報リテラシー教育への意識が低く、何が危険なのか分かっていない」と感じている。子どもに携帯電話を持たせっぱなしで、子どもがどんな使い方をしているかチェックしていない親もいるという。
楽天の竹下さんが以前、前略プロフについて保護者向けに講座を開いた際は、プロフを見たことがない保護者が8割を占め、携帯でネットを使ったことがないという人も多かったという。
桝田教諭は「小学生のうちは『悪いことだ』と言えばすんなり受け入れる。中学生になってから教育するのでは遅い」と話していた。
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