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電機メーカーの在庫調整、3月末にも終了 部品各社は9月末に――NRI予測

» 2009年03月13日 07時00分 公開
[ITmedia]

 急速な景気減速の直撃を受けた電機・電子部品メーカーの在庫が積み上がり、各社は減産による生産調整に追われた。野村総合研究所(NRI)の試算によると、電機メーカーの在庫調整は早ければ3月末にも終了する見通し。電子部品メーカーは9月末にずれ込むという。

 総合電機大手8社(日立製作所、ソニー、東芝、パナソニック、NEC、三菱電機、三洋電機、シャープ)と、電子部品大手8社(TDK、オムロン、NECエレクトロニクス、村田製作所、アルプス電気、ローム、日立マクセル、NECトーキン)の財務データなどから分析した。

 電機8社の棚卸在庫合計額は、2008年3月末時点で5兆8000億円だったが、08年12月末には7兆円に増加。ソニーとパナソニックは在庫削減を進めているが、そのほかのメーカーで増えていた。棚卸在庫回転期間(棚卸在庫/売上高)は、08年3月末時点の1.3カ月から、08年12月末には1.9カ月と、0.6カ月悪化した。

 クリスマス商戦に向けて生産量を増やしていたところに不況が直撃し、販売量が急減。08年10〜12月期の販売量は前年同期より25%減ったとみられる。在庫解消に向けて生産調整を進めたため、同期の生産量は、前年同期の6割以下の水準にまで落ち込んだとみている。


画像 販売量の減少に在庫調整が重なり、生産量は急減した
画像 現在の水準(売上見通しが対前期比70%、生産量が同50%)なら、08年12月末から3カ月後の09年3月末に在庫調整が終了すると試算

 各社は現在、3月末に向けて在庫調整を加速中。早ければ3月末までに、棚卸在庫を前年同期の水準に戻せるとNRIは試算している。「ただ、大きな底割れがない限りという前提付きの試算だ」(同社コンサルティング事業本部技術・産業コンサルティング部の中川隆之グループマネージャー)

川下の電子部品は「9月末」

画像 現在の水準(売上見通しが対前期比50〜60%、生産量が同30〜40%)なら、08年12月末から5.5〜11カ月後に在庫調整が終了すると試算

 川下の電子部品メーカーは、電機各社からの受注急減で売り上げが大幅に減る中、棚卸在庫の削減が進んでいないという。棚卸在庫回転期間は、08年4〜6月期は1.8カ月だったが、同10〜12月期は2.9カ月と、1.1カ月分悪化した。

 今年1〜3月期の電子部品生産量は、ピーク時の4〜7割減と分析。在庫水準が08年4〜6月期に戻るには9月末までかかるとみている。

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