急成長を続けるイラストSNS「pixiv」が次のステップへ進もうとしている。「コミケのように、祭りのような楽しい雰囲気の中でさまざまな作品が生まれ、売買され、中にはその稼ぎで生活する人もいる」――こんな空間の実現をpixivで目指していると、ピクシブの片桐孝憲社長は話す。
pixivは、同人サークルでイラストを描く同社のプログラマーが「Flickrのイラスト版を作れば、イラストを探すのが楽」と考え、開発したサイトだ。2007年9月のオープンから約1年半。投稿されたイラスト総数は約400万枚で、1日に平均1万2000枚ずつ増えている。「イラストを楽して探せるようにする」という当初の目標は達成しつつある。
4月1日に始めた有料会員制度「pixivプレミアム」(月額525円)とポイントサービス「pixivポイント」は、次の目標に近づくための第1歩、“入り口”という。「自分たちだけでできることは限られている」ため、今後は目標実現に向け、他社との連携も積極的に進める構えだ。
pixivは今後どのように変わっていくのか、pixivプレミアムとpixivポイントの狙いは何か――“pixiv第2章”を、片桐社長に聞いた。
pixivプレミアム(月額525円)は、登録すると、pixivポイントをためたり、ポイントをほかのユーザーにプレゼントする「goodP」(グッピー)機能を使える。イベントに先行申し込みできたり、イラストページのキャプションを改行できたり、pixivのブログパーツのカスタマイズできるといった特典もある。
ためたポイントは、pixivオリジナルグッズと交換できるほか、今後実装する機能や有料サービスで使えるようになる予定。当初はAmazonギフト券に交換する仕組みだったが「お金がほしくてpixivをやってるのではない」というユーザーの声が多かったため廃止した。
pixivプレミアムを始めた理由は「広告で収益を得るよりも、ユーザーから直接お金をもらった方が、ユーザーを見ながら運営できる」からだ。「pixivの文化を育てることが重要。広告で無理に収益を増やそうとすると、サービスが破たんする」と考えている。
ユーザー課金によって収益基盤を安定させ、新機能の開発費などにあてる狙いもある。これまで売り上げのメインは広告だったが、波があり、黒字と赤字を行ったり来たりと「超ギリギリ」の状態。「pixivを長く続けていくためにも、収益化したい」という。
有料会員は現在数千人。「いきなりお金のにおいがするようになって嫌だ」「有料会員になるメリットか感じられない」など批判の声も多く届いているという。
片桐社長自身、有料会員になって得られるメリットが現時点では少ないことを承知している。だがpixivプレミアムの機能は「今後3〜4カ月で大きく変え、ユーザーのかゆいところに手が届くようにする」計画。今はまだ“入り口”に過ぎず、「批判に耐える」時期だと思っている。
かゆいところに手が届くとはどんな機能・サービスなのだろうか。「できていないものをユーザーに提示して混乱が起こると大変だから」詳細は秘密という。「入り口だけ見ても“山”は見えないですよね」と不敵に笑う片桐社長の頭の中には、まだ明かせない“pixiv第2章”の全ぼうが詰まっている。
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