わたしの王子様はどこにいるのだろうか。
自称美少女で乙女な記者は3日にいっぺんくらいそんなことを考えている。もちろん王子はイケメンでなくてはならない。電車の中、歩いている最中、時には取材先でもイケメンを見つけては「この人がわたしの王子!? 白馬に乗せてさらって……!」などという妄想にいそしんでいる。
しかし、最近の王子様たちはみんなシャイだ。草食系という言葉が流行しているだけあって、恋しいと思っていてもガツガツしないらしい。だってこんなに美少女の乙女(自称)に一切お声がかからないなんておかしい。絶対におかしい。明らかに、おかしい。
仕方がないからこちらからきっかけを作ってやろう。街中で一目ぼれした時、ボタン1つ押すだけで“一目ぼれ履歴”を記録できるサイト「ヒトメボ」を使うのだ。
このサイト、男女が同じエリアで同時にボタンを押すと「両思い」と表示され、自分に一目ぼれしている人が近くにいると分かる仕組みになっているらしい。いくら記者が高根の花といっても、両思いと分かっていれば、相手も声をかけてくるだろう。
まずは下準備として、サイトでニックネーム、性別、誕生日、メールアドレスを登録。自分の髪型や服装なども登録しておく。アウター、トップス、ボトムス、シューズ、アクセサリーの種類と色を、プルダウンメニューから選べるようになっている。
服装登録は必須ではないが、登録しておけば、全ユーザーが入力した一目ぼれ履歴とマッチングし、自分に一目ぼれした人がいたかどうかを後からでも確認できるのだ。
準備が済んだら早速イケメン探し! 早速狩場へ移動しよう。
そして記者が訪れたのは秋葉原。わが家のPCが3台同時に壊れるという奇跡が起きたため、PC購入もかねてこの地を選んだ。
駅に到着するなり早速イケメンらしき人物を確認。とりあえずスイッチを押してみた。GPSや基地局情報を元にした位置情報と、現在の日時がサーバに記録される。
記録終了の画面と同時に表示されたのは、風船を持った女子から男子に向けて一直線に矢印が伸びている画像と「ヒトメボレを記録しました」という一言。おかしいな……明らかにわたしの片思いだ。面と向かって振られたわけでもないのに少し切なくなって駅を去る。
ヒトメボには、ほれた相手の雰囲気や服装を詳細に記録する「ヒトメボレデータ登録」機能もある。ヒトメボレスイッチを押した後に表示される「詳しく登録」というリンクをクリックすると、服装や、「どれくらいグッときたか」、ギャル男やメガネ男子など相手の「タイプ」、かっこいい、かわいいなどの雰囲気も入力できるのだ。今の彼はグッときた度は星2つくらい、ギャル男風でかわいい感じ。入力。
しかし……あいつ記者の良さを分かってねぇな……(編注:魅力以前に、相手がヒトメボを使っていない可能性も高い)。でもいいんだ、記者の好みは少し長めの黒髪で薄顔な男子だもの。メガネとスーツを着用していたらなお良い。あぁ早く黒髪メガネスーツ王子を見つけて愛をささやかれたい……。1時間おきくらいに「愛してる」って言われたい。10分おきくらいでバカにされたい。
そこからは自分との戦いだ。王子らしき人はいないかと全身でアンテナをはり、見付けた瞬間に押す!
困ったのは王子が複数歩いてきたときだ。位置情報の送信に少し時間がかかるため、たて続けに王子が来るとすれ違うタイミングでボタンが押せない。そうこうしているうちに3回ほど獲物を取り逃した。
ひたすら往来を歩く男たちを凝視していると、徐々に“イケメン”の何とやらがよく分からなくなってくる。どうやら真剣に見つめすぎて顔のゲシュタルト崩壊を起こしたらしい。イケメン至上主義の乙女が、顔を判別できなくなるなんて……。「人間、顔じゃない」という天のお告げなのかもしれない。
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