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GoogleのWebサービスが有料になったらそれでも使いますか?(1/2 ページ)

» 2009年07月13日 17時09分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 米Googleが「Chrome OS」(Netbook向けのLinuxベースのOS)の計画を発表したことで、メディアやブロガーの間で数多くの疑問が飛び交っている。そういった疑問を数え上げると、優に20件は下らない。細かい問題や仮定の問題も含めれば、それどころの数では済まない。

長期的な疑問:Chrome OSはMicrosoft Windowsに本当に対抗できるのだろうか。オープンソースプラットフォームとして提供されるChrome OSは、Microsoftからシェアを奪うことを狙うUbuntuやRed HatなどのLinuxディストリビューションよりも成功のチャンスは大きいかもしれない。オープンソースOSはコンピュータのコストダウンにつながるからだ。

短期的な疑問:GoogleのAndroidはJavaを分裂させたとして批判されているが、Chrome OSも同様にLinuxを分裂させるのだろうか。現時点では不明だ。

 やや意外なのは、Googleが自ら分裂しているのではないかという疑問もあることだ。すなわち、GoogleのLinuxベースのモバイルOSであるAndroidの成長の芽をChrome OSがつみ取ってしまうのではないかということだ。

 この問題は、Yankee Groupのジョシュア・マーティン氏が調査メモで指摘したものだ。同氏によると、Chrome OSの登場はAndroidの成長を阻害する可能性があるという。米国では現在、Androidは2機種の携帯電話(G1および8月にリリースされるmyTouch 3G)で採用されているだけだが、将来的にはNetbookや各種コンシューマーデバイスにも採用される見込みだ。

 「Googleは自社の顧客ベースを分断した」とマーティン氏は調査メモに記している。「Netbook向けにChrome OSが提供されることで、AndroidはGoogleのモバイルプラットフォームにすぎない存在となる。このため、コンシューマーは複数のGoogleデバイスを所有することによる付加価値を期待することはできない」

 New York Timesのソール・ハンセル氏も、この点について述べている。「Googleは検索機能やGmailをはじめとするGoogle AppsなどのWebサービスを喜んで提供している。しかし自社のOSをWindowsよりも安価なOSとして位置付けるのは、今世紀最高のブランドの価値を損なうことにならないだろうか」と同氏はブログで指摘している。

 この問題についてはさまざまな意見がある。Enderle Groupのロブ・エンダール氏は、OSは無償であるべきだと考えている。OSはアプリケーションやサービスの基盤であるから、というのが理由だ。しかし同氏は、無償製品に伴う問題として、販促や需要創出のための十分な資金を確保できないことを挙げている。エンダール氏は米eWEEKの取材で次のように述べている。

 ほかのLinuxプラットフォームで見られたように、ハードウェアメーカー各社はこれらのプラットフォームの販促を行わないため、結局は売れないということになる。現在のエコシステムは、MicrosoftとIntelが支出する販売協力費とダイレクトマーケティング支出によって成り立っている。確かに、最近までMicrosoftのマーケティング活動は金を食うばかりであまり効果がなかったが、この状況は変化した。Googleがこの市場で成功するには、自社のイメージを維持し、自社製品の需要を喚起する必要がある。多くの新興OS、そして大多数のオープンソース専業企業がそうであるように、Googleもマーケティング資金を得ることはできない。この問題は、同社のブランド、ビジネスチャンス、そして将来を損なうものだ。誰かが需要喚起の費用を支払わなくてはならず、無償ではブランド価値を保護・拡大することはできない。

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