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1人流しそうめんのすすめ

» 2009年08月28日 14時16分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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 夏といえばそうめん。そうめんといえば、流しそうめんだ。

画像 夏といえば、そうめんなのだ!

 半分に割った竹に水を流し、そうめんを流し入れる。涼しげに流れてくる白いめんをはしですくい取り、つゆに付けてずずっとすする。ああ、至福。

 だが流しそうめん実現には、高いハードルが何重にも立ちはだかる。そうめんを流すのにちょうどいい竹、水を流せる場所、そして、そうめんを投入してくれる人。都内のワンルームに1人暮らしの独身記者(30歳♀)にはすべて、望むべくもない。

 この夏、“流しそうめん難民”の記者に、東京都台東区方面から一筋の希望の光が差し込んだ。バンダイが「そうめんや」という、本格家庭用流しそうめん機を発売したのだ。

 家庭用流しそうめん機と呼ばれるものはこれまでにもあった。ドーナツ型の円形ボディのみぞに水とそうめんを入れ、スイッチを入れるとそうめんがぐるぐると回るような機械で、流しそうめんというより“回りそうめん”といった趣だ。

 バンダイのそうめんやは違う。小さなウォータースライダーのような形で、高さは36センチ。スライダー部はぐるっと2回転しており、全長は140センチある。天頂部から水と一緒に流したそうめんが、スライダーを流れ落ちるという構造で、めんをちゃんと“流せる”仕組みだ。定価8400円とやや値は張るが、これなら狭いアパートでも、1人でも、流しそうめんができそうだ。

 というわけで記者は、Amazon.co.jpでそうめんやをぽちっと購入。数日後、両手でかかえるほどのサイズの大きな箱に入って、そうめんやが我が家にやってきた。箱の側面には、家族団らんで流しそうめんを楽しむ写真と「ご家族皆様でお楽しみください」の文字。むむ、やはりこの機械、1人用ではないらしい。

 そんな文字は見なかったことにして箱を開ける。


画像 そうめんやの箱。でかい
画像 家族団らん用のようだが、そんな写真は見なかったことにする

画像 パーツ

 開けてみると、竹を模したスライダー状の緑色のパーツや、水をくみ上げるためのモーターや電池の入った白いパーツ、天頂部に置く水車のパーツなどが入っている。これらのパーツを組み立てて、流しそうめん機を作り上げるのだ。

 10個以上あるパーツを目の前にして、記者はハタと硬直した。どこから手を付けていいのか分からない。涙目になりながら説明書を読み込み、スライダー状のパーツを組み合わせ、ポールに刺し……、20分ほどでなんとか組み上がった。プラモデルなど組み立てるのが得意な人なら、ものの数分で組み立てられるだろうが、そうでないとちょっとつらい。


画像画像 やっと組み上がった

 本体下部には、水おけと電池&モーター入れをセットする。電池は単1電池×2本だ。水おけに規定の量の水を入れ、スイッチを入れると…… 「ウィーン」というモーター音とともに、水おけの水が真ん中の柱を通って天頂部にくみ上がり、スライダー部を流れて水おけに戻る。まさにウォータースライダーだ。水の勢いで水車小屋の水車が回る様子も粋だ。「こ、これは……!」。組み立ての苦労も忘れ、胸が高鳴る。

そうめんエンターテインメント

画像

 ゆでたそうめんとつゆをスタンバイ。そうめんをはしでつかんで水車小屋のわきに落とし、すかさずはしを移動。スライダーの中腹あたりではしを構え、さっき流したそうめんをキャッチする。めんつゆにつけ、ズルズルとすする。セルフサービス流しそうめん。かなり楽しい。


画像 自分で投入
画像 自分でキャッチ!

 天頂部にそうめんを置いてから下の水おけに落ちるまで5秒ほどかかるので、自分で流して自分で取るのもそれほどあわてずに済む。流した分を全部キャッチできることもあれば、一部しか取れず残りが下に流れてしまうことも。流れてしまっためんは、水おけの上に載っているザルが受け止めてくれる。うまくキャッチしきれないと、「次は全部キャッチするぞ」と燃える。

 1人そうめんが、ただ食べるだけの栄養摂取から、めんキャッチを楽しむエンターテインメントに変わる。食べているのは自分だけなので、流したそうめんを誰かに取られる心配もない。ジャイアン並みの独占欲を誇る記者にはうってつけだ。

画像 持ち運び用の袋付き。電池式なので屋外でも1人そうめんが楽しめる

 難点は、めんを取る時や、水おけに水をつぎ足す時などに水がはね、周辺が水びたしになりがちなこと、めんは左から流れてくるため、左利きの人には取りづらいこと、1人だと会話がないためモーター音がやけに気になること――くらいだろうか。

 1人暮らしの1人そうめんは空しくなりがちだが、そうめんやさえあれば楽しい遊びに早変わり。パッケージには「ご家族で」と書かれているが、むしろこれは1人用グッズではないか、流しそうめんを1人で可能にした画期的なグッズではないか――と、わりと本気で思った、“おひとりさま”の記者だった。

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