米Microsoftと米Yahoo!のインターネット検索提携をめぐり、米司法省は両社の契約が独禁法に違反していないか確認するために本格的な調査を行う方針だ。
Microsoftでは司法省が追加情報の提供を求めていることを認めているが、当然のことながら、その詳細については固く口を閉ざしている。
Microsoftの広報担当者、ジャック・エバンズ氏は9月11日に米eWEEKに電子メールで送付した発表文で「予想通り、MicrosoftとYahoo!は契約に関する追加情報の提供を求められた。提携発表時に述べたように、われわれはこの契約が詳細に調査されると予想していたが、2010年初頭までに承認されるものと期待している」と述べている。
司法省では、MicrosoftによるBing(同社の新しい検索エンジン)への投資などに関する契約内容や、広告価格などの詳細について調査するもようだ。7月29日に両社間で締結された検索広告契約は、BingがYahoo!の検索エンジンとして採用され、Yahoo!は両社の検索広告主への独占的販売をワールドワイドで引き受けるという内容だ。
MicrosoftとYahoo!は現在、米国の検索エンジン市場でそれぞれ8.4%と19.6%の市場シェアを持っている。一方、Googleのシェアは65%。MicrosoftとYahoo!が手を組むことにより、検索エンジン市場における両社のライバルに効果的に対抗するのに必要な規模を確保できると両社幹部は期待している。この契約に基づく提携期間は10年間。
Microsoftのスティーブ・バルマーCEOは契約締結後、「Yahoo!経由でBingを利用する新規のユーザーおよび広告主の増加は、新しい効果的な行動データが大量に得られるために、より的確な広告と検索結果につながるだろう」と述べた。バルマー氏率いるMicrosoftは2008年、Yahoo!を446億ドルで買収しようとしたが、この試みは失敗に終わった。
Yahoo!の幹部は8月24日の記者会見で「当社のWebページでBingが採用されるが、当社は依然としてオンライン分野での競争にコミットしている」と主張したが、今から思えば、そこには政府当局による両社の提携の審査がスムーズに進むようにしたいという思惑があったようだ。
Yahoo!で研究開発と検索戦略を担当するプラバーカー・ラガバン上級副社長は当時、「この契約では、Microsoftは当社にアルゴリズム検索の結果、画像および動画を提供する。われわれはそのレイヤーの上で自由に新技術を開発することができる」と述べていた。
Bingは今後も、何十億ものWebページをインデックス化し、検索結果を生成する取り組みでGoogleとの「メガワット戦争」(ラガバン氏)を戦う一方で、Yahoo!ではYahoo! Search、Yahoo! Messenger、Yahoo! Mailなどのユーザーエンド機能の改良を続ける方針だ。Yahoo!では、これらのアプリケーションは、MicrosoftやGoogleが提供する同様の製品に対するアドバンテージを自社にもたらす考えているようだ。MicrosoftとGoogleの検索ページはいずれも、追加機能よりも検索結果の方を重視している。
MicrosoftとYahoo!の提携により、Bingは検索エンジン市場でのシェアが拡大するが、アナリストらによると、それが短期的にGoogleに脅威を与えるかどうかは疑問だという。また、Yahoo!が提携を打ち切るための逃げ道も契約条項として用意されている。これは、GoogleのRPS(検索1回当たりの収益)率がMicrosoftとYahoo!の合計RPS率より高い場合は、契約を終了できるというものだ。
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