米Googleの共同創業者サーゲイ・ブリン氏は、Googleブック検索をめぐる著者および出版社との和解案を批判する人々を激しく攻撃し、「何百万冊もの絶版書籍をスキャンし、それらをユーザーに提供するという取り組みに着手した企業や組織はほかにない」と主張している。
この和解案は、同社が米作家団体のAuthors Guildおよび米出版社協会(AAP)に提示したもので、数百万冊の書籍をスキャンしてそれらを人々に有料で提供し、著者や出版社はライセンス収益の大半を受け取るというもの。昨年10月に発表されたこの和解案は、2005年に提起された集団訴訟の和解を目指したものだが、ニューヨーク州南部地区連邦地裁での審理は難航している。
400組近くの当事者がこの件に関して意見書を提出し、その大半はさまざまな理由から和解案に反対している。米司法省は、和解案における書籍のライセンス権の扱いなど多数の問題に関して懸念を表明している。また、電子フロンティア財団(EFF)などのプライバシー保護団体は、Googleのブック検索システムではユーザーの読書傾向に関するデータが十分に保護されないという不安を抱いている。
米Amazon、米Yahoo!、米Microsoftなどのライバル企業も和解合意に反対している。孤児作品(著作者が不明あるいは見つからない書籍)に対するGoogleの支配が強くなり過ぎる、というのが反対の理由だ。
Googleの技術担当副社長でもあるブリン氏は、10月8日付のNew York Timesの署名入り記事で、こういった懸念に対する見解を示した。これはブリン氏にとって異例ともいえる行動だ。同氏は共同創業者のラリー・ペイジ氏と同様、公の場で意見を表明するのを好まず、Googleのエリック・シュミットCEOに同社の広報責任者的な役割を任せてきたからだ。
ブリン氏は、Googleブック検索は強制的なライセンスだとする主張に反論し、「権利保有者は自分の著作物の価格およびアクセス権を設定でき、また、いつでも自分の著作物をGoogleブック検索の対象外にすることができる」と指摘する。同氏はユーザーのプライバシーをめぐる懸念には理解を示し、「当社はGoogleブック検索を対象としたプライバシーポリシーを策定した」と述べている。
ブリン氏はさらに、この和解案は絶版書籍をめぐる競争を妨げ、コンシューマーの選択肢を制限するという主張に対しても、皮肉交じりに反論している。
実際には、この合意には、ほかの企業や組織が同様の取り組みを追求するのを妨げるようなものは何もない。この合意が絶版書籍に対するコンシューマーの選択肢を制限するというのは、一角獣に対するコンシューマーの選択肢を制限するというのと同じだ。今日、人々が標準的な絶版書籍にアクセスしたいと思えば、選択肢は1つしかない――国内有数の大きな図書館に行き、書架でそれが見つかるのを願うしかないのだ。
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