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» 2009年11月13日 16時00分 公開

新人VOCALOID「ボカロ小学生」「ボカロ先生」「ボカロフルカワミキ」登場――さっそく歌ってもらった (2/2)

[松尾公也,ITmedia]
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3人の新ボカロを使ってみた

 ITmedia News編集部では歌愛ユキとmiki、そして氷山キヨテルのβ版を入手し、実際に曲に使ってみた。実質1日しか時間がなかったが、かなり実用的なVOCALOIDだということが分かった。

 インストールは変則的ではあるが、WindowsアプリをMacで動かすソフトであるCrossOver Macを搭載したiMacに行った。CrossOver MacはVOCALOID2のインストールに対応済みだが、AHSの新しいVOCALOID製品も組み込むことができた。もちろんWindowsにもインストールできる。既に初音ミクなどがインストールされていれば、VOCALOID EditorにSingerが追加され、併用することが可能だ。

 とりあえず手元にあったオケに、VOCALOID Editorで作ったボーカルを入れてみた。

 比較のために、初音ミクで同じ曲をうたったものも掲載しておく。

 小学生の女の子といえば、クリプトンが「Project if...」を開発中。デモ版の完成度を考えると、リリースレベルに非常に近いことが分かる。しかし、AHS版小学生ボカロ、いや「ボカロ小学生」は12月4日発売であり、先に出るのは確実。これは悩みどころだ。

 もちろん違いはある。クリプトンのデモで流れていた7歳の少女による歌声はミュージカルで鍛えているだけあって発声がきちんとしており、中性的といってもいいくらい。一方、AHSの「ボカロ小学生」こと「歌愛ユキ」は若干かすれ気味で発音は子どもっぽくあいまい、それがよけいリアルな子どもらしさを出している。「中の人」の年齢は9〜10歳くらいという。

 両方のデモを耳にし、「歌愛ユキ」をVOCALOID Editorで触ってみた上で言うと、「Project if...」とはすみ分けが可能ではないかと思う。声質はかなり違う。どちらかを選ぶとすれば、それは好みの問題だろうが、女の子の歌声がほしいのなら両方あると何かと便利だ。もちろん予算が許せば、だが。

 クリプトンは「Project if...」内で、7歳少女とは別にもっと年少のVOCALOID、少年のVOCALOIDも準備している。12日には「男の子風」VOCALOIDデモ曲が「Project if...」の公式Twitterアカウント@project_if_cfmによりリークされたMP3ファイル)。

 「小学生ボカロ」は複数の歌声が存在し、さらに増えていくことが確実なわけで、これらの声を使った音楽ジャンル、使い方を人々は考えていくことになるのだろう。「ジャンルとしての小学生ボカロ」は、さまざまなセンシティブな問題を含みながらも、音楽的には大きな広がりが期待できる。

 「miki」は、VOCALOIDとしては最大のレンジを持ち、高音部と低音部で違うキャラクターを持つ、本人の歌唱を忠実に再現したものだ。発音にはかなり本人に近い特徴があり、ピッチは初音ミクのようにフラットでも鏡音リンのように跳ね回るものでなく、プロらしくコントロールされたランダムさ、といった感じだろうか。本人の歌声がそうなのだろうが、B♭3から上の音は、アタックがかなり強い歌声になっている。これまで高音シャウトといえば鏡音リンだったが、「miki」にも出番があるだろう。

 AHSはアーティストエディションもシリーズ化していくというが、シンガーの特性に合わせたデータベースを作ることができれば、使い道はあるのではないかと思われる。歌手としてのフルカワミキは独特な唱法で知られているが、その声質をまったく異なる歌い方で使うことができる。まだ触り始めたばかりだが、相当の可能性を秘めたVOCALOIDだと感じている。

 小林オニキス作の初音ミク曲「サイハテ」をフルカワミキがカバーしたように、自分の声をかたどった「VOCALOID2 SF-A2 開発コード miki」で作られた楽曲を歌手自身が「歌ってみた」して、さらにレパートリーが広がる、というVOCALOIDエコシステムが生まれてきそうだ。

 男声VOCALOIDのキヨテルには、別の曲を歌ってもらった。エマーソン・レイク&パーマーのカバーで知られる「聖地エルサレム」を、原曲に近い賛美歌風オルガン伴奏にしたもの。歌詞は日本語。

 この曲はこれまで鏡音レンでやったり初音ミクでやったりしたのだが、キヨテル版はそれなりにしっくりくるようだ。低音部は伸ばしたときにちょっとノイズが乗る感じがするが、中音部、高音部の伸びは晴れやかで、歌い上げるのに向いている気がする。がくっぽいどのような語尾のクセがないため、アップテンポの楽曲もいけるのではないかと思われる。

 VOCALOIDユーザーとしては、「これを全部買わなくちゃいけないのか!」とうれしい悲鳴だろうが、クリプトン・フューチャー・メディアからも「Project if...」「初音ミクAppend」、男声VOCALOIDがリリース順番待ち状態。サンプル曲を確認しながら自分に最適のVOCALOIDを探していこう。

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 なお、AHSは「話すこと」に特化した、テキスト→スピーチソフトも発売する。現在のVOCALOIDはまだ得意ではない、おしゃべりの部分をカバーすべく、エーアイのスピーチエンジンAITalkを使ったソフト「VOICEROID 月読ショウタ」と「VOICEROID 月読アイ」も12月4日同時発売。これも男の子、女の子の元声と、キャラクターを使ったもの。それぞれ9800円(税込み)で、パック版もある。こちらのパッケージのなかなかインパクトが強い。

 AHSのVOCALOIDベンダー参入は話題を呼びそうだ。いろいろな意味で。

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