3月6日、東京・秋葉原近くの体育館で、100枚のパンツが一斉に羽ばたいた。
空を飛ぶものに憧れる人々が、自作飛行機を飛ばすイベント「空フェス!」のひと幕だ。旧中学校の校舎を改装したアートスペース「3331 Arts Chiyoda」(千代田区外神田6-11-14、3月14日正式オープン)のプレイベントとして開催。150人以上が来場した。
入場券に、ゴム動力で空を飛ぶパンツ型飛行機キット「空飛ぶパンツ」が付属。会場で組み立て講座を行い、完成したパンツをみんなで一斉に飛ばした。
「パンツを一斉に飛ばすことができ、日本は平和だという思いを共有できた。思えば遠くに来たもんだ」――空飛ぶパンツ“実体化”の第一人者の「尻P」ことSF作家の野尻抱介さんは、感慨深げに話す。
「空飛ぶスク水」「ロケットパンチ」など参加者が自作した“空を飛ぶもの”の展示・実演もあり、来場者は大いに盛り上がった。
空飛ぶパンツは、アニメ「そらのおとしもの」(2009年10月〜12月、テレビ神奈川などで放送)のエンディング映像がネタ元だ。パンツがV字編成を組んだり数を増やしたりしながら、群れをなして世界の空を飛ぶというもの。「鳥の3Dモーションとパンツの画像を合成して作った」(斎藤久 監督)という映像で、パンツが鳥のように生き生き羽ばたく。
その異様な光景はネットで話題になり、野尻さんが昨年10月、ゴム動力のオーニソプター(羽ばたき飛行機)として空飛ぶパンツを実体化。玩具の企画・開発を行うクエスチョナーズは組み立てキットを商品化した。
空飛ぶパンツをみんなで飛ばしたい――「空フェス!」は、関係者のそんな思いを結実したイベントだ。主催は、野尻さんも所属する「ニコニコ技術部」と、ニコニコ生放送などを使った番組の制作・放送を行うアマチュア報道グループ「ニコ生企画放送局」(NKH)。ポストペット開発者で、一人乗り飛行機の開発プロジェクトを進めるメディアアーティストの八谷和彦さんが会場提供を申し出た。クエスチョナーズの藤岡聡社長、そらのおとしもの監督の斎藤久さん、宇宙作家クラブに所属するTBSアナウンサーの鈴木順さんも協力している。
イベントは6日午後1時にスタート。来場者は、技術部員に教わりながら空飛ぶパンツを自作したり、持ち込んだ自作ラジコンなどを飛ばしたり、ニコニコ技術部のメンバーが自作したさまざまな「空を飛ぶもの」で遊ぶなど、思い思いの時間を過ごしていた。
来場者は30〜40代前後の男性が中心だが、小さな子どもを連れた親子連れや若い女性の姿も。空を飛ぶものへの興奮やあこがれは誰もが共通なようで、子どものようにはしゃぐ大人で会場は盛り上がった。
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