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中古PCが売れている理由Weekly Memo(1/2 ページ)

» 2010年08月02日 07時35分 公開
[松岡功,ITmedia]

整ってきた安心して購入できる仕組み

 PCを中心とした中古情報機器の再利用を促進する一般社団法人 中古情報機器協会(RITEA)が7月27日に発表した2009年度の中古情報機器の国内販売台数実績によると、PCは前年度比10%増の192万2000台となった。

中古PCの販売台数推移(出所:中古情報機器協会) 中古PCの販売台数推移(出所:中古情報機器協会)

 ちなみに、調査会社のMM総研が先頃発表した新品PCの2009年度国内出荷台数は、前年度比4.8%増の1390万8000台。新品に比べて中古品は倍以上の伸び率を示した格好だ。

 しかも中古品の伸び率は、2007年度が前年度比30%増、2008年度も同10%増だったので、3年連続で2ケタ成長を遂げたことになる。これに対し新品の伸び率は、MM総研の調査によると2007年度で同0.1%増、08年度で同1.8%増と微増にとどまっており、中古品と新品における勢いの差は歴然としている。

 新品と中古品を台数規模で単純比較すると、2009年度で中古品は新品の13.8%となり、2008年度の13.2%、2007年度の12%から着実に存在感を増しつつある。中古品の2009年度実績の内訳をみると、特にノート型が前年度比12%増の112万台と伸長した。また、中古品の37.3%が、製造年から3年以内のものであることも分かった。

 では今なぜ、中古PCが売れているのか。背景にある大きな流れとしては、個人および企業ともここ数年の景気低迷の中で、低価格な製品を求める傾向が強まってきていることが挙げられる。

 そうした中で、PCの買い替え時に中古品が対象製品として着実に認知されるようになってきたことや、適正な中古情報機器取扱事業者の再製品化作業によって良質な中古品が増加し、ユーザーが安心して購入できる仕組みが整備されてきたことが、中古PCの持続的な売れ行き好調ぶりを支えている。

 さらに、マイクロソフトが2009年4月に開始した、中古PCに対して正規のWindows OSライセンスを提供する施策も、中古PCの普及を後押ししている。「Microsoft Authorized Refurbisher(MAR)プログラム」と呼ぶこの施策は、OSを搭載していない中古PCを購入したユーザーが、不正コピー版のOSを導入するケースが後を絶たないため、正規版のOSを安価で提供することで市場の健全な発展につなげようというのが狙いだ。

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