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「BLOGOS」は月間1400万PVに ライブドアが語るブログメディアの可能性

» 2010年12月01日 11時04分 公開
[宮本真希,ITmedia]
画像 政治・経済誌との比較

 政治・経済の話題を取り上げるライブドアのブログメディア「BLOGOS」が昨年10月のオープンから1年経ち、月間ページビュー(PV)は1400万、月間ユニークユーザー(UU)は90万人となった。UUを雑誌の発行部数と置き換えて比較すると、「政治・経済誌に匹敵する影響力が出てきた」と、BLOGOSの大谷広太編集長は自負する。

 米国ではブログから出発した「Huffington Post」がアクセスを伸ばし、新聞社サイトを上回る規模に。年明けにはNew York Timesを追い抜くという予想も出ているという。日本でもブログメディアを通して、「世論形成のためのプラットフォームを整備し、ブロガーが活躍できる世界を目指す」と、大谷編集長は意気込む。

分野はニッチに、更新は高頻度で 「ブログメディアの勝ちパターン」

画像 BLOGOS

 ライブドアはBLOGOSのほかに、池田信夫さんが編集長の「アゴラ」や、湯川鶴章さんの「TechWave」など、20以上のブログメディアを運営している。「ブログは有名人の日常をのぞくものではない。メディアのインフラになりえるもの」と、同社の田端信太郎ブログメディア事業室長は語る。

 ブログメディアの特徴は、ブログシステムを使うことなどでコストを抑えられることという。加えて、ニッチジャンルに特化し、独自ドメインで高頻度に更新してネットでの存在感を高めることが「ブログメディアの勝ちパターンだ」と田端室長は話す。

画像 田端信太郎ブログメディア事業室長

 BLOGOSは、政治や経済に関するブログ記事を、livedoorニュース編集部が選び掲載している。日本では「日記という意識が強い」(大谷編集長)ブログを、BLOGOSを通じて議論のためのプラットフォームに育てたい考え。参加者は、片山さつきさんら政治家、池田信夫さんといった学者や専門家、小飼弾さんのようなアルファブロガーなど約250人にのぼる。

 論壇誌など従来のオピニオンメディアは、論者が大御所や中高年に偏り、議論がパターン化したり、建前の議論になりがちだったと大谷編集長は指摘する。BLOGOSは、肩書きや年齢、思想に関係なく、オピニオンを吸い上げているのが特徴で、「国会議員と10代のブロガーの意見が並ぶ面白さがある」と話す。


画像 大谷編集長

 メインの収益源は、サイトに掲載する広告。「立ち上げフェーズの1年」(大谷編集長)が終わり、次の1年で黒字化させるのが目標だ。メールマガジンなどを発行できる「livedoor ネットマガジン」を活用して電子書籍やメルマガを発行し、売り上げをブロガーに還元するなど、BLOGOS参加者のマネタイズも支援する。

 12月中旬には投資・金融の話題に特化した「BLOGOS finance」をオープン。BLOGOSとの合計で、来年10月に月間ページビュー1億、参加ブロガー500人を目指している。今後は、BLOGOS主催のイベント、Ustreamやニコニコ生放送番組の配信を増やすほか、スマートフォン向けアプリの機能も拡充する予定だ。


画像 池田信夫さん

 発表会に出席した池田信夫さんはメディアの現状について語り、「今の新聞やテレビは10年も持たない」と断言。「失職したジャーナリストが飯を食うためのプラットフォームが出てくるだろう」と話し、BLOGOSがその役割を担うとした。

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