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LTEは期待通りには普及せず、無線LAN活発化の可能性も──11年の通信業界トレンド予測

» 2011年05月20日 16時55分 公開
[ITmedia]

 世界のLTE(Long Term Evolutiion)市場は期待通りには普及せず、無線LANが携帯電話ブロードバンドを補完する──Deloitte Touche TohmatsuのTMT(Technology, Media and Telecommunications)グループがこのほど、2011年の通信業界の展望をまとめた。

 分析によると、LTEは業界の期待通りには普及が進まないという。3G技術の寿命が延びている上、一部の事業者が現行3Gの帯域を十分に活用しておらず、LTEの採用は予想より遅れる見通し。今年末までに商業サービスを開始するのは6カ国、30社未満にとどまりそうだとしている。

 日本では「国際標準である3Gを世界に先駆けて導入したため、時代を先取りしすぎ、日本の携帯電話市場のガラパゴス化を招いた。その結果、日本の通信機器や携帯端末の世界進出を阻害した」。このため、国内携帯事業者はLTEを世界で最初に導入することを故意に避けつつ、先頭集団と一緒に世界市場をけん引していく方法を選択したという。「世界の電話業界と協調しながらも、基地局や端末の世界市場制覇に向けて始動している」。

 一方、2011年は公衆無線LANからアップ/ダウンロードされるデータ量は25〜50%の大幅増となり、携帯電話回線経由のデータ量増加ペースを大きく上回る。その結果として通常回線経由のデータトラフィックが抑えられれば、事業者の利益率改善に役立つ可能性があるとみている。

 欧米で普及している、無線LANによるワイヤレスブロードバンドが日本でも活発化の兆しがあり、特に震災後の東北地方で普及する可能性を挙げている。一方で、国内事業者の成功体験が通常回線以外のワイヤレスブロードバンド普及の妨げになる懸念も指摘している。

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