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パナソニック、PDP生産能力ほぼ半減 構造改革で4200億円の赤字に

» 2011年10月31日 19時50分 公開
[ITmedia]
photo 構造改革を発表する大坪社長

 パナソニックは10月31日、PDPの生産能力をほぼ半減に縮小するなどのテレビ事業の構造改革を正式発表した。工場の減損処理など構造改革費用を積み増すことで、当初300億円の黒字としていた最終損益は一転、4200億円の赤字に転落する見通しだ。

 会見した大坪文雄社長は「テレビは今後も重要な商品」とする一方で、赤字に陥った現実を見据え、「現状から脱却するために抜本的に改革する」と話した。

 テレビ事業ではPDPの新鋭工場だった尼崎第5工場で生産を休止し、尼崎第3工場の設備を中国・上海に移設する計画も中止。PDP生産は尼崎第4工場に集約する。この結果、42インチ換算で合計1380万台だったPDP生産能力は720万台に縮小する。

 液晶パネルも茂原工場の生産を休止し、姫路工場に集約。テレビ最終製品の生産も集約し、全体の人員も縮小する。テレビ事業で今期2650億円の構造改革費用を計上し、来期以降、年間810億円の効果を見込む。

photo テレビ事業の今後=説明会資料より

 今後はPDP、液晶パネルともテレビ以外で用途開拓を進め、液晶パネルはIPS方式の利点を生かし、来期にはハイエンドモニターや車載モニター、医療用など非テレビ向けの割合を一気に半分近くにまで高めたい考え。最終製品では、液晶テレビは海外パネルの活用や大画面展開を進め、プラズマテレビは50インチ以上の割合を6割に引き上げるなど、収益力の高い大画面中心にシフトしていく。

 半導体事業でも構造改革を断行し、微細化の進展で設備投資負担が大きいシステムLSI生産のファブレス化や、イメージセンサーなど成長が見込める事業へのリソースシフトを図っていく。同事業で今期590億円の構造改革費用を計上し、年間150億円の効果で来期の営業黒字化を目指す。

来年から新体制に

 4〜9月期、BD/DVDレコーダーの売上高は前年比15%増の714億円と好調だった一方、テレビは25%減の3683億円にとどまっている。特にプラズマテレビは35%減の1611億円に落ち込んだ。

 大坪社長はテレビ事業の改革について、「IPSとPDPの強みが生きる収支バランスがとれた構造にする」と説明する。テレビ事業の収支が厳しくなったのは2008年度。それ以降、コストダウンなどの取り組みを図ってきたが、世界的な競争の激化とコモディティー化の急速な進展で「技術力と商品力が発揮できなかった」とし、赤字が続く現状を構造改革で脱却する狙いだ。

photo 12年1月からの新体制=説明会資料より

 構造改革の一方、来年1月から事業体制を一新。コンシューマー、ソリューション、デバイスの3事業部門に事業を再編し、パナソニック、パナソニック電工、三洋電機の一体化を加速させる。

 グループの人員は、今年3月末に約36万7000人だったが、削減を前倒しして今期中に35万人以下にする計画だ。

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