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中高年の皆さま、スマートフォンをお使いですか? おじさんの本音萩原栄幸が斬る! IT時事刻々(1/2 ページ)

» 2011年11月12日 08時00分 公開
[萩原栄幸,ITmedia]

 今回は55歳の筆者がスマートフォンに感じた「本音」を披露したい。その悲哀ぶりを感じ取っていただければ幸いだ。

10月のとあるセミナーにて

 10月31日、日本スマートフォンセキュリティフォーラムの技術ワーキンググループの月例会で特別講演を務めた。一応、筆者はコアメンバーであり、スマートフォンに関するセキュリティについてさまざまな角度から調査・研究をしている。こう書くと、いかにもスマートフォンについて――「素人ではない」「携帯(ガラケー)より早くメールが打てる」「フリック式入力も慣れている」「構造にめっちゃ詳しい」――と思わせてしまうかもしれない。だがその実態は……。そう、筆者は単なる不器用なおっさんにすぎないのである。

 今回はこの正当なテーマ(スマートフォンセキュリティ)に関しては取り上げない。それよりも、もっとドロドロとした「本音」について述べていく。不器用で指が太く、狙ったところを押すのが苦手なもうすぐ定年を迎えるおじさん、いや、おじいさんにも近い筆者の本音だ。

急激なスマートフォン普及、戸惑う利用者

 今年は「スマートフォン元年」といえるほど、急激に利用者が伸びている。iOS派、Android派の2つに大きく分かれる(その他もあるがシェアが小さすぎるので割愛する)が、どちらかといえば、Android派のシェアが拡大している。

 一番の理由は、Android OSを組み込んだ製品を開発するメーカーの数が多いことなのかもしれない。熱狂的なAppleファンはAndroidを見向きもしないだろうが、素人的には1社独占状態のiOSに比べて、メーカーの多さ、多種多様なデザイン、豊富な機能の点で、Androidに魅力を感じるのはいたしかたない(「そういう輩は本質が分かっていない」と、Appleファンは突っ込まないでほしい……)。

 さて、こうした違いを取りあえず念頭に置きながら、「スマートフォン」というジャンルについて統計的な数字をまず考えてみたい。9月にマクロミルから「第2回スマートフォンに関する調査」が公開されている。これによると、以下の傾向が読み取れる。

  1. スマートフォン所有者の7割が満足している。逆に3割は満足していない――筆者もこの3割の中に入ることになる
  2. 不満点は圧倒的に「バッテリーの持ちが悪い」。2位はiOSでは「つながりにくい」こと、Androidでは「タッチパネルの反応速度が悪い」となっている

 また、日本テレビのZIP調査(6月21日放映分)では「スマートフォン女子」が困ったことが次のように紹介されていた。

  • 1位:ボタンが押しにくい
  • 2位:装飾メール(デコメ)が使いにくい
  • 3位:大きくて持ちにくい

 こうした統計情報を基に、1人の不器用なおじさんの悲哀を以下につづりたいと思う。

その1:電話を受けられない!

 今一番に困っていることとは、先方から電話が来た場合に、ほぼ5割の確率で電話を取ることができずに留守電モードになり、筆者から電話をかけ直していることだ。取引先や友人ならまだいい。しかし筆者の場合は、一見客から問い合わせが多いのである。それが公衆電話や会社の代表電話だったりすると、ほとんどお手上げである。代表電話に連絡するとこういう感じになる

筆者 「すみません、情報セキュリティ相談センターの萩原と申しますが、先ほど私あてにご連絡がきたようなのですが、あいにく電話に出ることができませんでした。担当の方をお願いします

先方 「誠に申し訳ございませんが、担当部署と氏名をお伝えいただけないと、お取次ができかねます。どなたでしょうか?」

筆者 「担当の方の部署も名前も分かりません。でも、ここに連絡が来るということは急いで何かをしてほしいというケースが多いのです。探せませんでしょうか?」

先方 「(あきらかに軽べつの声で)探せません! 最近こういういたずら電話が多いので失礼いたします」

 この後に電話が来ることはほとんどない。恐らく別の専門家に電話をして、そこで対応していると思われるので、明らかに機会損失だ。損害賠償請求したいくらいに腹の立つ感度の悪さである。若い女性の中にも筆者のような不満があると聞く。携帯電話のプッシュボタン式からタッチパネル式になった際に、その時代の流れにとり残されてしまった一部の若者のようだ。

 これは、最近のタッチセンサで「静電容量方式」が主流になってからのことだ。(今も現役だが)昔の「抵抗膜方式」が懐かしい。静電容量方式は、個人差、そして年齢によって感度が異なり、一般的には筆者などの中高年だと感度が低い傾向にあるようだ。また、同じ「静電容量方式」でも機種により感度は異なるという。しかもiOS系のiPhoneが優れているらしい。実際に店頭で両方をタッチすると、明らかにiPhoneの方がいい。とてもいいのだ。

 どうやらその違いは製造工程にあるという。さまざまなセンサの専門家の意見がインターネットに掲載されているが、総体として1つは信号とノイズを区別するASIC(Application Specific Integrated Circuit)の差だという。Appleは独自開発したものを採用しているが、他社はタッチスクリーンメーカーの標準ASICを使っている。この差が大きいという。しかも駆動電圧は、Appleは12ボルトだが、他社はせいぜい5ボルト程度であり、ここでも性能の差を感じる。

 理屈はとにかく、隣で若者が難なくタッチしているのに、筆者は電話が来るたびに、メールを入力するたびに苦労している。なんとなく、「老人を差別しているのでは?」「情報弱者を馬鹿にしているのか?」と勘繰りたくなるのである。

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