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漫画『ガラスの仮面』にまさかのスマートフォン!――紅天女のふるさと・梅の谷で速水真澄の携帯電話は通じるのか(1/2 ページ)

» 2011年11月12日 15時25分 公開
[片岡麻実,ITmedia]

(このコンテンツはオルタナティブ・ブログ「片岡麻実の人生サバイバル」からの転載です。元エントリーはこちら。)


はじめに

 今回は漫画『ガラスの仮面』シリーズの5弾目「紅天女のモデルとなった秘仏と伝説がある・梅の谷で速水真澄の携帯電話は通じるのか」について考えてみます。「物語完結のカギは速水真澄のIT化」の後編を書くにあたってあまりにも内容が長くなってしまったため、複数の記事に切り分けてご説明をしていきたいと思います。

 今回の記事も物語の結末や核心となる部分に触れています。この記事は「『ガラスの仮面』のネタバレになっている記事でもかまわない」という方を対象にしていますのでご注意ください。

 なお漫画『ガラスの仮面』シリーズは、下記の流れで進んでいます。

紅天女の舞台「梅の谷」はどこにあるのか

 『ガラスの仮面』紅天女1 文庫版20巻(単行本では34巻)には梅の里/梅の谷/紅梅の谷と呼ばれる土地が登場します。紅天女の作者・尾崎一蓮が紅天女のモデルとした秘仏と伝説がある場所です。気温がほぼ一定のため、一年中ほとんどの時期に梅が咲いているという山奥です。

 紅天女のふるさとの呼び方は、登場人物によって微妙に違いがあります。

  • 紅天女の梅の里:速水真澄
  • 紅天女の故郷(ふるさと):青木麗、速水真澄、山岸巌(日本演劇協会理事長)
  • 梅の谷:北島マヤ、姫川亜弓、月影千草、小林源蔵、速水真澄
  • 紅天女の谷:北島マヤ、速水真澄
  • 梅の里:桜小路優、山岸巌(日本演劇協会理事長)
  • 紅梅の谷:速水英介
  • この山:月影千草

 主人公2人に加え月影千草など主要人物の多くが使用していることから、今回の記事では「梅の谷」と呼ぶことにします。

ちなみに日本演劇協会理事長のフルネームは単行本42巻の紅天女の試演の記者会見で理事長の前に「山岸巌」と書かれた紙が貼られていることから判明しました。劇団オンディーヌ理事長の「小野寺一」の一(はじめ)の一と「巌」の漢字の位置が同じであることから、「巌」の下には漢字がない可能性が高いと判断しました。

 東京から「梅の谷」までの行き方は『ガラスの仮面』紅天女1 文庫版20巻(単行本では34巻)に以下のように記されています。

  1. 東京駅から新幹線に乗車
  2. 京都駅で新幹線を下車
  3. 京都駅で在来線に乗り換え(1時間乗車)
  4. さらに別な電車に乗り換え、下野口駅で下車(30分乗車)※この時点で東京から6時間
  5. タクシーで1時間乗車※カーブが多い山道とのこと
  6. 紅梅村に到着※道案内の石碑に「紅梅村」と明記。

 下野口駅はYahoo!路線検索で検索したものの、下記のように表示されました。

 「下野口」の最寄り駅を特定できませんでした。

 Google Mapで「下野口」を検索しましたが東京都中央区が表示され、別な場所が表示されてしまいました。どうも「下野口」という名前の駅は実在しないようです。

 思い返してみれば、劇団一角獣とともに「真夏の夜の夢」を上演した井の頭公園のことは「I公園」と表記されていました。「紅天女」の試演が行われるシアターXは「旧・汐戸水駅(しおとみえき)」の跡地となっていますが、これは汐留駅のことと推察されます。

 過去に登場した場所は、実在する場所をモデルにしていても微妙に名前が違う例が多いので、「下野口」駅に近い名前の駅がモデルになっている可能性が高いのではないかと判断しました。

 京都駅に乗り入れている路線は「JRおでかけネット」の京都駅構内図によりますと、下記10種類があるようです。

  1. JR京都線
  2. 琵琶湖線
  3. 湖西線
  4. 奈良線
  5. 嵯峨野線
  6. 山陰線
  7. 北陸線
  8. 関西空港・白浜・新宮方面
  9. 近畿日本鉄道
  10. 京都市地下鉄

 漫画の描写では『ガラスの仮面』紅天女1 文庫版20巻(単行本では34巻)において、京都駅で新幹線を降りた時に山岸理事長が「さあ、ここから別な電車に乗りかえだ」と発言しています。

 JR西日本の在来線に乗り換えたのか近畿日本鉄道、京都市地下鉄に乗り換えたのかは不明です。しかし、乗り換えた電車の中から見える外の風景は水田、山や森が見えているので京都市地下鉄は対象外と考えられます。

 乗り換えた電車の席はお互いに向き合って座る形式で窓にはカーテンがついています。内装から判断した場合、山手線のように近距離で移動する電車ではなく、長距離移動を想定した電車であることが推測できます。

 梅の谷は天の川がはっきり見えるほどの山奥です。Google Mapのルート・乗換案内で京都駅から山岳地帯への検索をいくつか試しました。

  • 京都駅から丹波まではJR福知山線快速(大阪行き)で3時間4分
  • 京都駅から奈良県桜井寺までは近鉄吉野線急行(吉野行き)で1時間51分
  • 京都駅から三重県 御在所山までは近鉄名阪乙急行→近鉄湯の山線で3時間34分
  • 京都駅から滋賀県 蓬莱駅まではJR湖西線で33分
  • 京都駅から滋賀県比叡山延暦寺までJR湖西線(近江舞子行き)で1時間15分
  • 京都駅から近鉄京橿特急と徒歩で大阪府 金剛山まで6時間8分 ※徒歩4時間36分となっていたので実質は電車で1時間半のようです。

 京都駅から電車・自動車での移動も含めて2時間半くらいかかる場所であることは間違い無いと考えられます。しかしGoogleを活用してみましたが、関西の地理に疎いためにGoogleでの検索がうまくいきませんでした。同心円上に考えてみると対象範囲が広いため、私見では特定できないと考えました。

 しかし、ガラスの仮面のファンのかたが梅の谷のモデルとなった場所をすでに特定されていたことがわかりました。

[参考]紅梅村を探す:千の仮面より

 調査されたファンの労力への敬意とご迷惑をおかけしないために、モデルの地の具体的な地名はこの記事内では記載しないようにします。そのため地名の部分は一部伏字にします。具体的な地名を知りたい方はぜひ上記のサイトを御覧ください。

 ファンの調査が正しいという前提で、モデルの地と推測される村役場の公式サイトなどでどのような場所か確認しました。北島マヤと速水真澄が一夜を過ごした神社(社務所)は○○神社かもしれません。○○神社は芸能の神様です。演劇漫画のガラスの仮面に合っています。神社の公式サイトには「能」と縁(ゆかり)が深いことが記されています。修験道の役行者や真言宗の弘法大師(空海)、五十鈴(いすず)と関係が深い神社のようです。

 「紅天女」は南北朝時代の南朝の立場から物語が語られているので、神社に南朝の四代天皇の御霊が祀られている点でも物語と合致します。

 神社への交通アクセスは京都駅から○○線で「○○神宮前」乗換え「下○口」駅下車でした。駅から○○○○バス「○○○行」バスで約1時間「○○神社前」下車すぐとのこと。

 神社は弁財天さまなので、二人の仲があいまいなまま朝になってしまったのと関係があるのでしょうか。○○○○渓谷には吊り橋もありました。月影千草が燃やしてしまった禁足地へ渡る吊り橋のモデルかもしれません。ファンがご自分のサイトで検証されていたように「梅の谷」のモデルの地と実在する場所は類似した点がとても多いようです。

 別なファンサイトによると、美内すずえ先生が梅の谷のモデルの地に取材旅行に行った時の紹介記事が1985年の「花とゆめ」に掲載されていたようです。もし当時の雑誌を入手できれば具体的に書かれているのかもしれません。国会図書館などでアナログに雑誌を探せば地名は確定できそうです。

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