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AT&TのT-Mobile買収に反対する報告書をFCCが公開

» 2011年12月01日 08時46分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 米連邦通信委員会(FCC)は11月30日(現地時間)、米AT&TのT-Mobile USA買収で生じる問題を指摘し、買収に反対する109ページに上る報告書(リンク先はPDF)を公開した。

 FCCのジュリアス・ジェナコウスキー委員長は声明文で、「この買収に関する調査は、市場における健全な競争を守る目的で実施した。今後いかなる買収申請があってもこの目的は変わらない」と語った。

 AT&Tは3月に、独Deutsche Telekom傘下のT-Mobile USAを390億ドルで買収することで合意に達したと発表した。この買収が完了すれば、AT&Tは米通信キャリアとして圧倒的な首位に立つことになる。

 これに対し、米司法省(DOJ)や競合の米Sprintが独禁法違反になるとしてAT&Tを提訴している。

 規制当局のFCCは先週、この買収に関する公聴会を開くと発表したが、これに対しAT&Tは26日、FCCへの買収承認の申請を取り下げた。DOJとの訴訟を解決してから再申請するものとみられていた。

 AT&TはFCCが報告書を公開したことに対し、この報告書は公式なものではなく、効力はないし、AT&TはFCCに事前に説明の機会は与えられなかったとして抗議する声明文を発表した。

 AT&TはFCCへの申請取り下げを発表した際、買収が成立しなかった場合の違約金40億ドルを10〜12月期に計上することも発表している。

 米Wall Street Journalによると、AT&TとDeutsche Telekomは買収が成立しなかった場合の次善の策として、合弁会社の設立を検討しているという。

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