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「もい!」「にゅっと!」──Twitterのフィンランド人気と大使館の「デジタル外交」(1/2 ページ)

» 2012年03月05日 11時00分 公開
[榊原有希,ITmedia]
photo 駐日フィンランド大使館のTwitterアカウントは期間限定で「スオミネイト」アイコンになっている。フォロワーは3万を超えた

 「もい!」「にゅっと!」──今、Twitterになぜかフィンランド語があふれている。ブームの震源地は、愛称「フィンたん」こと「駐日フィンランド大使館」の公式アカウント「@FinEmbTokyo」だ。女子力を高めるフィンランド日常会話から、アニメ「ストライクウィッチーズ」まで、幅広い話題をつぶやいてブレイク、フォロワー数は3万を超えた。お堅い大使館というイメージを覆すフィンたん。実は、IT先進国であるフィンランドの「デジタル外交」という重責を担っていた。その素顔に迫ろうと、東京都港区にあるフィンランド大使館を訪ねてみた。

 まず出迎えてくださったのは、ミッコ・コイヴマー参事官。2010年11月に着任以来、フィンランド大使館におけるソーシャルメディア戦略を手がけてきた。

 フィンランド大使館によるソーシャルメディアの活用が最初に注目されたのは、1年前の東日本大震災。「携帯電話もつながらない中、Facebookを利用して積極的に情報発信をしました。フィンランド国内メディアも外務省も、東日本大震災に関する情報はFacebookを見てくださいと呼びかけ、とても注目されて500人だったファンが4500人になりました」と振り返る。

 Twitterの公式アカウントは当初、Facebookの更新情報を自動的に流すためだけに使われていたが、昨年11月に独立、本格的な運営をスタートした。

 「フィンランド語のあいさつ、Moiのバリエーション。Moi!(もい!基本形) Moikka!(もいっか!ゆるふわ系) Moikkelis!(もいっけりす!おふざけ系) Moi Moi!(もいもい!さよなら系) Moido!(もいど!じゃあね系) Mo!(も !おっすおっす系)」

 「『なう』に続いて『にゅっと』が流行ったら、フィンランド大使館職員一同嬉しいです」

photo 大使館アカウントがフィンランドの擬人化キャラ「スオミネイト」を紹介したところ反響があり、イラストコンテストが開催されることに。結果は現地紙で大きく紹介された

 「フィンランド人はビックリすると「おほ(oho)」と言う。かわいい女の子からゴツいおじさんまで」──など、ひらがなで表記された日常会話がゆるくてかわいいと評判が広まった。

 また、「フィンランド伝説の狙撃手、Simo Häyhäはシモ・ヘイヘではなく、実際には『シモ・ハユハ』と読みます」といった豆知識を披露したり、フィンランドの撃墜王・ユーティライネンがアニメ「ストライクウィッチーズ」で萌えキャラ化しているのを知っているかという質問に対し、「すでに把握しております」と回答したり。大使館というお堅いイメージを払拭するフレンドリーなつぶやきでますます人気が上昇、「フィンたん」との愛称で親しまれ、現在ではフォロワー数は3万を超えた。

 「Facebookは日本語やフィンランド語、英語でも発信していますが、Twitterは日本語だけです。日本人の方に対して特化した、新しいアプローチでフィンランドの情報を伝えています。そして、ただ伝えるだけではなく、話し方もかなりフレンドリーでインタラクティブ。質問があれば、できる限りお答えします。『デジタル外交』ですね」とコイヴマー参事官は説明する。

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