著書「スタートアップ!」の中でホフマン氏は、「ABZプラニング」を提唱する。現状のまま進める「プランA」、プランAでうまくいかない時に採る「プランB」、いざという時の備え「プランZ」の3つを用意し、リスクを軽減して成功の確率を上げるという考え方だ。
例えばFlickrは、もともとソーシャルゲームの会社(プランA)だったが、ゲームに写真共有機能をつけたところヒット。写真共有を主軸にすえ(プランB)成功を収めた。
ホフマン氏はSocialNet.comを立ち上げた(プランA)直後、友人が起業したPayPalに移った(プランB)。どれもうまくいかなかった時は父親の実家に身を寄せるという「プランZ」を用意して「保険をかけていた」(ホフマン氏)。
「バックアップがあるとクリエイティブになれ、決定力が増える。常にバックアップは必要」と三木谷氏も同意するが、楽天起業時は、「昼間はコンサルタントとして稼ぎ、そのキャッシュで楽天を運営していた」ためプランZは必要なかったという。「プランZはゴールドマン・サックスで働くことかな」(三木谷氏)
苦しくても未来の成功を考え、プロセスを楽しむことが大事とも。「山登りと同じで、厳しい斜面でも山頂を考えると楽しめる」(三木谷氏)。楽天の場合、厳しい道のりを支えたのは、安定したキャッシュフローだったという。楽天市場は、コミッションを他社より安く設定する代わりに、半年間の前払いを求めることで、キャッシュフローを安定化。「キャッシュフローがよかったので生き残れた」(三木谷氏)
LinkedInは、勤務先やプロフィールなどを公表し、ビジネスパーソン同士がつながるサービス。だが、本名や勤務先をネットで公表したり、アピールすることに抵抗を持つ日本人は多い。
その背景を三木谷氏は、「すべてを社内にとどめようという日本の伝統的文化が理由」と解説。「雇用市場、労働市場が特殊で、慎重でなくてはならない部分もある。嫉妬の文化があり、出る杭は打たれる」傾向にあると話す。だが「日本人はもっと外に出ていくべき。シャイ過ぎてはいけない」とも。「匿名性のメリットもあるが、実名のほうが経済的メリットはある。社会がもつインテリジェンスや英知をまとめ、集める必要がある」
ホフマン氏は、「自分で自分をPRするのに抵抗があるかもしれないが、LinkedInに経歴を書けば、誰かがみつけてくれ、それが人生に役立つこともある」と話し、日本のビジネスパーソンにLinkedInの利用をすすめる。
「日本人はもう一度自信を取り戻さないといけない」と三木谷氏。「ネットの影響で抜本的に物事が変わり、イノベーションのスピードは加速している。ウォークマンやDVD、LEDを作ったのは日本だったが、世界が日本を忘れるのにそんなに時間はかからないだろう。もっとアグレッシブに生きないと」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR