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「さくらのクラウド」、自社開発ストレージに転換 βテスト開始

» 2012年06月25日 19時33分 公開
[ITmedia]

 さくらインターネットは6月25日、障害が相次いでいたクラウドサービス「さくらのクラウド」で、自社開発した新ストレージ装置によるβテストを開始した。十分な性能を確保できると確認した上で、新規ユーザー募集を再開するとしている。

 同サービスでは昨年12月中旬からストレージシステムに起因する障害が相次ぎ、3月下旬には「課金をさせて頂ける状況ではない」としてサービスの当面無償化を発表していた。

 同社が田中邦裕社長名で公表した報告書(PDF)によると、アクセス量の増大に伴いホストサーバとストレージ間のネットワーク接続が切れたり、ストレージへのアクセスが増えてデータの読み書きがひんぱんになるとストレージ性能が低下するといった問題が発生していたという。

 3月に導入した2台目のストレージは問題が発生しておらず、負荷分散により1台目のストレージも動作が安定して障害は発生していないが、「ストレージ装置の選定と検証プロセスに大きな問題があった」と反省し、「安定性と性能の確保、および責任ある運用を実施するため」としてストレージ装置を自社開発し、転換することに決めた。

 新装置は想定収容数を確実に処理できる仕様に変更するなど、発生した問題を踏まえた設計とし、自社で管理・運用できるよう自社エンジニアで開発。性能と機能をユーザーに確かめてもらうためにβテストを実施する。

 βテストでは20Gバイト限定で無料提供。安定性を確認した上で、問題がなければ8月中旬には容量を拡大する予定。9月以降、さらに安定性を確認し、十分に課金できる品質と判断した上で新ストレージを正式運用する。具体的な日程や新規ユーザー募集再開の方法などは同社サイトで公開していく。

 同社は改めて障害について謝罪し、「本障害のような事象を二度と発生させないために、サービス全体の信頼性を向上させ、一日も早いサービス正常化を目指して参ります」としている。

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