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「Facebookを超えたい」──SNS&ポータル化へチャレンジする「LINE」

» 2012年07月03日 19時40分 公開
[岡田有花,ITmedia]
画像 森川社長(中)、舛田執行役員(左)、出澤剛ウェブサービス本部代表

 「Facebookを超えたい」――NHN Japanは7月3日、メッセンジャーソフト「LINE」のプラットフォーム化を進める方針を発表した。世界4500万ユーザーをかかえるLINE。プラットフォーム化を通じて「年内に1億ユーザーを獲得し、Facebookのように9億、10億ユーザーをかかえる存在になりたい」と森川亮社長は意気込む。

 スマートフォン向け無料通話&メッセンジャーアプリとしてユーザーを拡大してきたLINE。新たにタイムライン機能とユーザーのマイページ機能を搭載してSNS化していくほか、ゲームや音楽配信サービス、仮想通貨による決済機能などを実装。コミュニケーションツールの枠を破り、リアルなソーシャルグラフを軸にしたスマートフォンネイティブのプラットフォームにかじを切る。

 SNSを軸にしたプラットフォームは、Facebookやmixi、GREEなど、強大なライバルがひしめく激戦場。同社の舛田淳執行役員/CSMOは、「LINEはスマートフォンネイティブアプリであり、リアルグラフ(リアルな人間関係に基づくソーシャルグラフ)を持っていることがほかのプラットフォームと違う」とアピールする。

 KDDIとの提携も発表した。定額でアプリを利用し放題の「auスマートパス」との連携や、ユーザー保護、負荷対策などで協力していく(KDDI、「LINE」と提携 au版をリリース)。

拡大スピード、FacebookやTwitter超え

 2011年6月のサービス開始から1年。LINEは世界4500万、国内2000万ユーザーをかかえるサービスに成長した。ユーザーは月間500万人ずつ増えており、その拡大スピードは「FacebookやTwitterを超えている」(森川社長)。現在の海外ユーザーはアジア中心だが、今後は米国、中国にも本格展開していく。

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 LINEと連携したアプリやコンテンツサービスも好調だ。「サービスが効果的につながるか検証するために」リリースした、LINEの友人の写真を送るアプリ「LINE Camera」は1カ月で500万ユーザーを獲得し、芸能人のメッセージやニュースなどが受け取れる「LINE公式アカウント」は、のべ2500万ユーザーが利用。4月にスタートした、LINEの有料スタンプの売り上げは2カ月で3億5000万円に上り、収益力も証明した。

画像 コカ・コーラやローソン、すき家など、大手企業がLINEをプロモーションに活用している。映画「アメイジング・スパイダーマン」の公式アカウントは100万人が利用し、無料スタンプを350万人がダウンロードしたという。効果的なマーケティングプラットフォームとして企業に利用を呼び掛けていく

LINEがSNSに、ポータルサイトに

 近日中に予定しているアップデートで、友人や家族のコミュニケーションツールとしてだけでなく、エンターテインメントコンテンツや情報を得られるプラットフォームに進化させていく。「LINEがスマートフォンユーザーのサービスゲートウェイになる。ポータルサイトのようなイメージ」(舛田執行役員)だ。

 LINE上の友人同士で近況を共有し、コミュニケーションする「ホーム」「タイムライン」を近く実装し、SNS化していく。テキストや写真、動画、位置情報など近況を伝えたり、友人の近況に対して、スタンプを使って感情を表現したり、コメントしたりできるようになる。

 プラットフォーム化の核になるのが「LINE Channel」だ。ゲームや占い、クーポンなどのコンテンツをパートナー企業との連携でLINEユーザーに届けるコンテンツプラットフォームで、仮想通貨「LINE コイン」を使った決済機能も実装。「スマートフォンに新しいエコシステムを構築する」(舛田執行役員)

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 LINE Channelでは、ソーシャルゲームを配信する「LINE Game」、講談社が参加するテキストノベル「LINE トークノベル」、リクルートの「ホットペッパーグルメ」と組むクーポンサービス「LINE COUPON」、レコチョクと組む音楽配信「LINE サウンドショップ」(仮)などを展開。各コンテンツやサービスは、LINE上で動作するHTML5基盤のWebアプリと、LINEと連携できるiOS/Androidアプリで提供する。

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 まずは自社開発を中心にアプリ/サービスを提供し、その後、外部パートナーにプラットフォームを開放していく計画。ゲームのパートナーとして、スクウェア・エニックスやタイトー、コナミデジタルエンタテインメントなどが名を連ねている。パートナー企業を順次、拡充していくほか、個人開発者も参加できるようになる見通しだ。

画像 LINE Gameのイメージ。第1弾として、「LINE Brizzle」をリリース予定だ。ゲームはネイティブアプリで提供する

 スマートフォン向けソーシャルゲームでは、GREEやMobageといった強力なライバルがいるが、LINEの強みは「4500万を越える圧倒的なユーザー数と、友達や家族といったリアルグラフ」(森川社長)。電話番号でつながったリアルの友人や家族同士でゲームを楽しめる点が、ほかのプラットフォームと異なるとアピールする。

 LINEに今後、多くの機能が追加される一方で、LINEは「シンプル」であり続けるという。「LINEのコアバリューは、友だちとのコミュニケーション。LINEはシンプルでなくてはならない」(舛田執行役員)――多機能のプラットフォームとシンプルな操作性の両立を目指す。

 TwitterやFacebookなど他のSNSとの連携機能などについては、電話番号をベースにしたリアルグラフということもあり、連携によって問題が出る場合も考慮して慎重な姿勢だ。

「出会い」目的は厳しく対処

 LINEは当初から、男女の出会い目的で利用するユーザーが問題になっていた。同社は、App StoreやGoogle Playのレビュー欄をモニタリングし、出会い目的の書き込みの削除依頼をしているほか、LINE用の出会い掲示板運営事業者などに抗議し、差し止め請求しているという。

画像 森川社長(左)とKDDIの高橋誠専務

 携帯キャリアからユーザーの年齢データをもらい、未成年ユーザーの保護を図ったり、不特定多数のユーザーにメッセージを送るスパムユーザーは見つけ次第、IDを削除するなど、利用環境の向上に努力しているという。

 KDDIとは、スマートフォン向けLINEで提携すると発表。定額でアプリを利用し放題の「auスマートパス」と連携するほか、未成年ユーザーの保護や負荷対策でも協力していく(KDDI、「LINE」と提携 au版をリリース)。

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