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岐阜の商店街から花の都へ 過激なゆるキャラ「やなな」が世界に飛び出した理由(2/3 ページ)

» 2012年08月10日 08時00分 公開
[佐野友祐,ITmedia]

 そんなやななが、フランス・パリで7月6日〜8日に開催されたJapan Expo 2012に出場しました。数千人のお客さんの前で「コスプレステージ」に上がってダンスパフォーマンスを披露したり、ニコニコ生放送に出演したり、現地のメディアに取材されたりと、とにかく遠く離れたフランスで活躍しました。

大勢の観客の前でダンスを披露するやなな

 やななのJapan Expo出展の構想が始まったのは今年2月のことです。「やななというご当地キャラを通して、岐阜の文化を海外の市場に広めることはできないか?」――日本のサブカルチャーを扱うイベントとしては海外最大規模のJapan Expoでその可能性を探りたい、というのが今回のプロジェクトの目的でした。

 また、実はもう1つ狙いがありました。それは、岐阜文化の発信を「海外発信」に切り替えることで、地元・岐阜県の人たちの興味を引こう――という狙いです。

 岐阜県民には「岐阜発信の文化は都会的でなく、地味でかっこ悪い」と思い込んでしまっている人が少なくありません。しかし一方で、名古屋や東京などの都市圏、あるいはニューヨークやパリといった海外都市から発信された情報には興味を示すという“あこがれの心理”が見受けられるのも事実です。

 やななの運営団体であるラデッキはこうした岐阜県民の心理を逆手に取り、「岐阜の文化の逆輸入」を狙いました。

 やななのイベントなどではこれまでも、地元メディアを軸としつつ、名古屋や東京のメディアにも積極的に情報を提供して“情報の逆輸入”を図ってきました。そこで今度はJapan Expoへの出展を通じ、やななの情報をパリ発信のものとして逆輸入することで、今まで以上に岐阜県民の大きな関心を引こうと考えたのです。

photo パリでニコ生に出演するやなな
photo フランス語のチラシで自己紹介

 当初は「フランスの人がやななに興味を持ってくれるのか? よく分からない“怪しいキャラ”と思われて敬遠されるのでは?」といった不安もありましたが、やななはJapan Expoで一躍スターになりました。道ゆく人から「写真撮らせて!」という声が次々とかかり、気付けばやななの周囲に人だかりができていました。Japan Expoには多くのお客さんがコスプレイヤーとして参加しており、いたるところで写真撮影が始まるのですが、やななの人気はレイヤーさんたちにも負けていなかったと思います。

 やななの姿を見て「これは何のキャラのコスプレなの?」と勘違いする人や、とりあえず物珍しさに写真を撮っていく人もいましたが、ほとんどの来場者はやななのプロフィールが書かれたチラシを渡すと感心して読み入ってくれました。特に、やななが柳ケ瀬という街のマスコットキャラクターであるという点に大きな関心を持ってもらえたようです。フランスにはいわゆる“ご当地キャラ”と呼ばれるキャラクターがいないことも、興味を抱かれた理由の1つだと思います。

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