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開始4年目で突然ヒット 写真で一言「ボケて」のアクセスが30倍になった理由(2/2 ページ)

» 2012年10月10日 08時00分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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 10月10日にiPhoneアプリを公開。新着ボケや人気のボケを、簡単な操作で閲覧できるアプリだ。ボケを「☆」の数で評価したり、お気に入り登録して友人同士で見せ合ったり、TwitterやFacebookに投稿することができる。Android版も近日、公開予定だ。


画像 iPhoneアプリ版

 アプリ開発は自社で抱え込まず、iPhoneアプリ開発で実績のあるハロ(東京都渋谷区)と、ブレイブソフト(東京都港区)の2社と協力。ハロは鎌田さんがかつて勤めた日本テレビの同期が起業したベンチャー企業だ。オモロキは「マネタイズが苦手」なため、アプリの広告営業も友人の会社に任せている。「81世代と呼ばれる30歳前後の同期で、面白い奴がいっぱいいる。信頼しあえる他社と補いあっていきたい」

 オモロキは取締役3人だけの小さな会社。ボケての運営に加え、受託開発事業を手がけているが、「会社を大きくしたいとは思っていない」という。「思いが近い人と一緒に仕事がしたいだけ。一気に10億円、20億円稼いだり、上場を目指すといった、ベンチャーキャピタルが期待するような成果は目指していない。サービスの収益が毎月少しずつ増えて、給料が数千円ずつ上がるとかの方がうれしいし、頑張りたくなると思う。いきなりお金が入ったり上場したりすると、労働が楽しくなくなるし」

社長は市議会議員 取締役全員が“兼業”の異色ベンチャー

画像 鎌田さん(右)と和田さん

 同社はスタッフ全員が兼業だ。社長の鎌田さんは、オモロキとトロッコの社長、音楽教室運営ベンチャーのEYS-STYLEの取締役を務め、静岡県熱海市の市議会議員でもある。CTOの和田裕介さん(30)は、自らも会社を経営。もう1人の取締役は、公認会計士と弁護士資格を持ち、弁護士として働いている。

 和田さんと鎌田さんは慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の同じ研究室出身。和田さんは卒業してすぐ、父親と2人で経営する会社の社長に、鎌田さんは、日本テレビ放送網に入社した。日テレ在職中にITベンチャー・トロッコを設立、2年後に日テレを退職し、07年にオモロキを設立して代表に就任した。10年9月、28歳の時に熱海市議に立候補し、歴代最年少で当選した。

 新卒で日テレに入社したのは、「電波少年のようなわくわくする番組を作りたい」という思いからだったが、希望と異なる音楽番組の制作に配属された。仕事を通じて制作会社スタッフと親しくなり、同じ仕事をしても制作会社社員よりテレビ局社員が優遇される業界の構造に疑問を抱いたという。「この構造を変えるには一生かかると思ったが、同じ一生を使うなら、もっとたくさんの人がわくわくしたり、人が生きやすい仕組みを作りたい」と日テレを辞め、友人と2人だけのWebベンチャーに身を投じた。

 「政治家は裏で何やってるか分からないと思っていて、大嫌いだった」が、元地元紙記者の父の紹介で市議会委員から出馬要請を受け、半年間行動をともにした結果、「とてもまっとうで、尊敬できる」と見方が変わったという。「この人たちとなら、地元・熱海を良くできる」と10年9月、市議会議員選に立候補、当選した。

 市議会議員としての目標は、「熱海の人口を増やして雇用を増やし、稼げて子供を養える面白い街にする」ことだ。都内の会社に勤務する人に熱海移住を促し、温泉や自然を楽しみながら新幹線通勤してもらうことなどを提案。「熱海市は10万人都市のインフラあるが、人口は4万人切り、県内の高齢化率トップになってしまった。予算をかけず頭を使い、行政、企業、市民が同じ方向を向いて熱海を盛り上げる力添えをしたい」

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