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LINEの快進撃と初期のmixiが重なって見えた

» 2012年11月26日 19時09分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 先週のアクセス1位は、LINEの仮想空間サービス「LINE Play」の記事。最近、LINEの新サービスが矢継ぎ早に投入され、ユーザーも活気づいている。

 中でもヒット作は、公開初日で300万ダウンロードを超えたというLINE連携パズルアプリ「LINE POP」だ。単純なパズルゲームだが、LINEの友人たちとの得点争いが熱い。プレイ後に毎回、友人間の点数ランキングが表示されるため、上位争いで闘志に火が付くし、ゲームをプレイするのに必要な「ハート」を友人に贈る機能もあり、ハートの贈り合いがLINEでのコミュニケーションを活性化させている。

 ネットでつながる友人と争い、助け合いながらゲームを楽しむこの感覚。数年前に、似た体験をしたことがあることを思い出した。2009年、mixiアプリで大ヒットした「サンシャイン牧場」だ。作物や家畜を育てて販売し、牧場の「レベル」を上げていくゲーム。友人の牧場を手伝ったり、友人と得点ランキングを競うのが楽しかったのを思い出す。

 LINEはmixiと似ている。両サービスとも、友人同士をつなぎ、心地良いコミュニケーションを提供すべく開発された。最初はシンプルな機能のみ、ビジネスモデルを後回しにしてスタートし、ユーザーの心地よさを最優先。口コミでユーザー数が拡大した。ある程度ユーザーが集まった時点で外部から登録できる機能を追加(LINEの場合はFacebook認証の導入、mixiは招待制から登録制に)したり、企業の公式アカウントやゲームなど新サービスを提供するなど、機能やコンテンツを充実させ、ビジネス化していった。

 運営側の思想も似通っているように感じる。「「競合を意識する暇はない」――“大きな商店街”目指す「LINE」、Facebook認証など大幅刷新」という記事にある、NHN Japanの舛田淳執行役員の発言には、ミクシィの笠原健治社長が以前話していたのと似た内容がいくつもあった。例えば、「LINEが1つの“小さなインターネット”になりつつある」という舛田執行役員の発言は、mixiが登録制に移行した際のインタビューで笠原社長が話していた「mixiを小さなインターネットに」という言葉と重なるし、競合を意識するよりもサービスの品質向上が大切だという言葉は、笠原社長からも何度も聞いた。

 mixiもLINEも、その時のネットの“マス層”がコミュニケーションに求めていた何かをタイムリーに提供、ユーザーのバイオリズムのようなものとサービスの歯車ががっちりかみ合ったことで急成長を遂げたように思う。その後mixiは、ユーザーが求めているものを見失って迷い、初期のユーザーは次々と離れていった。LINEももしかしたら、2年後、3年後、5年後にはmixiと同じように、ユーザーの求めているものと提供できるもののズレに悩むのかもしれない。

 mixiが生まれたあのころより今は、業界の競争も激しくなっており、フィールドは世界に広がっている。LINEがユーザーを引きつけ続けるためには今後も、息つく間もなく先を読み、手を打ち続ける必要があるのだろう。

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