ゼンストローム氏が率いる投資会社の投資先、無線LAN共有サービス「FON」も、通信事業者から見れば“反逆者”だったが、FON創業者は、「パリの街にはたくさんのWi-Fiシグナルが出ているのに使えない。個別で使っているWi-Fiを統合できないか」というシンプルな思いからスタート。「破壊したい、反逆したいと思ったのではなく、ほかの人がやっていることを、違うふうに実現しただけだろう」(ルービン氏)
破壊的なサービスに対して、既存の業界は反対したり、プレッシャーをかけてくる。ゼンストローム氏はP2Pファイル共有ソフト「Kazaa」を開発。世界で5億ダウンロードされたが、「当時、レコード会社や音楽業界は破壊の準備ができていなかった」ため事業は失敗。「ビジネスモデルが維持できず、価値が提供できないまま終わった」とゼンストローム氏は振り返る。
新技術が現れた時には、「適応させたい、成長させたいという方向の力も働く」とルービン氏は言う。FONは通信事業者と提携。3G通信とWi-Fiで通信を分散させることで、通信事業者の負担を削減した。「新技術やネットは、事業に人を巻き込める。新しい会社ができ、エコシステムができたとき、これまでの産業がオープンな気持ちで迎え、新技術を利用していかないと、共倒れになる」(ルービン氏)
ドーシー氏は、SF作家ウィリアム・ギブスンの「未来はすでにここにあるが、ただ行きわたっていないだけだ」という言葉を引用。「みんな未来に生きているが、周囲に広まっていないので、みなさんが広めるべき。面白いと信じられる、世界中の人が使えばいいのにと思うものを作り、会社を作って世界中に広めてほしい」と話す。
ゼンストローム氏は「自動車は馬を速く走らせるという発想から生まれたのではない。全く違う方法で運搬を変えた」と指摘。「経済危機で世界の行く末が分からない時、破壊的な事業を興すことで、世の中は大きく改善する。破壊的な技術は多くは今、ソフトとプラットフォーム関連から生まれる。ちょっと気がおかしいのでは? と思うような起業家によって世の中は進化する。常識を覆すようなものが出てくることを期待している」と呼び掛けた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR