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「ギャップ萌え」でフォロワー増加中 警視庁初Twitterの中の人「本職」氏に聞く、日々とその思い(2/4 ページ)

» 2013年04月18日 11時00分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「紅茶をいただきます…」「お茶請けは月餅です…」「靴の中に小石が入っていると思いましたが、靴下の毛玉でした…」。本職氏のツイートは、普段を考えていることをそのまま、飾らずに書いているという。読んで面白く、クスッと笑えるような文章になるよう心がけている。

画像 新聞にも取り上げられたツイート

 投稿は上司の確認を得た上で行っており、発言は、「警視庁の職員として言っていいことかどうかを気をつけ、常識の範囲内にとどめている」という。過激な発言で注目を集める「炎上マーケティング」と呼ばれるようなやり方は避けている。

 つぶやく内容は、誰にでもありそうな、何気ない日常ばかり。受けているのはツイートの内容そのものではなく、「ギャップ」だと本職氏は分析する。

 「警察公式なのに、何言ってるの? というギャップが面白いんだと思う。“ギャップ萌え”でしょうね」

 本職氏が所属するのは、犯罪情勢分析や統計業務などを行う調査分析のチーム。ネットにつながったPCは部署に1台しかなく、つぶやきたい時はそのPCまで移動するという「ひと手間をかけて」行なっている。緊急時に対応できるよう、外出先でもスマートフォンからつぶやける状態にしてある。

 年末年始の休暇中も、自動更新を駆使し、ほとんど休まずつぶやいていた。「もう趣味の世界。“ツイ廃”みたいなものです。やらないと落ち着かない」

「村の駐在さんみたい」 年賀状届く

 リプライはしないが、フォロワーからの返信はすべて読み、反応を確かめている。「ほとんどが好意的な内容」という。警察そのものに対する批判なども「毎日届いている」が、「警察が批判を受けるのはTwitterに限ったことではないので、困ってはいない」そうだ。

画像 毎日のお茶請けツイートが人気

 人気の話題は、ちょっとした失敗の話や、午後3時ごろによくつぶやいている、その日のお茶請けの話だ。「失敗の話は楽しみにしていただいているようで、最近、失敗するとiPhoneでメモするようになった。今日はお茶請けないんですか? などリプライが飛んでくる」

 アカウントから届く警察官の普通の日常が、警視庁を身近に感じさせている。「フォロワーのみなさんと、楽しくやりとりしたい。警察と都民、国民の皆さんとの距離感を縮めたいというのが大きな目的。村の駐在さんみたいだと言ってくれた人がいました。自転車をキーコキーコとこいで、村を回っているような。いいご意見をいただいたなと」

 この正月には警視庁に、本職あての年賀状が10通ほど届いた。すべてにお礼状を書いたという。

ルールがなければ、作ればいい

 Twitterは当初、「振り込め詐欺撲滅月間」の11月限定の予定だったが、反響を受けて12月以降も継続。振り込め詐欺だけでなく、不審者情報や庁のイベント情報なども流し始めた。

 フォロワー数が増え、反響が大きくなる一方で、公的なアカウントで個人的なツイートを行うことへの批判の声も大きくなっていた。事前に策定・公表していたTwitterのポリシーには、担当者個人によるツイートについては書かれておらず、ルールのない状態での運用が続いていた。

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