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iOS 7──“iPhone発売以来最大の変更”の中身

» 2013年06月11日 07時44分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 米Appleは6月10日(現地時間)、年次開発者会議WWDCにおいて、次期モバイルOS「iOS 7」を発表した。リリースは今秋の予定で、アップデートできるのは、iPhone 4以降、iPad 2以降、iPad mini、第5世代のiPod touchになる。

 ティム・クックCEOは、この新OSはインダストリアルデザイングループ担当上級副社長のジョナサン・アイブ氏と、ソフトウェアエンジニアリング担当副社長のクレイグ・フェデリギ氏の協力のたまもので、「最初のiPhoneを発売して以来の大規模なアップデートで、素晴らしいユーザーインタフェースを搭載する」と語った。

 使用するフォントが細くなり(Helvetica Neue Ultra Lightとみられる)、アイコンのデザインは立体感のないシンプルなものになる。また、マルチタスキング機能の拡張や、無料の音楽ストリーミングサービス「iTunes Radio」など、100以上の新機能が搭載される。

 os7 1 左から、スライドしてアンロックするロック画面、ホーム画面、どこからでもスワイプアップで表示できる「Control Center」

スワイプアップで表示するControl Center

 iOS上で何をしていても、画面の下から上にスワイプアップ(画面の下から上にスワイプ)すると表示される「Control Center」では、ネットワーク設定、画面の明るさ調整、音楽の再生/停止/スキップ、AirDrop(後述)やAirPlayへの接続、懐中電灯、タイマー、計算機、カメラアプリの起動などができる。

Notification Centerがロック画面でも表示可能に

 「通知センター」がロック画面でもスワイプダウンで表示できるようになる。また、「Today」「All」「Missed」の3つのタブに分かれ、それぞれで当日の予定、すべての情報、ソーシャルサービスや電話、チャットなどの新着情報が表示されるようになる。

マルチタスキングの範囲拡大

 従来は限られた基本アプリでのみ可能だったマルチタスキングが、すべてのアプリで可能になる。(十分なネットワーク環境にあれば)バックグラウンドでアプリのアップデートが行われ、Facebookなどのソーシャルサービスのタイムラインの更新も行われる。ホームボタンを2度押すことで、起動中のアプリのサムネイル一覧を表示でき、サムネイルをスワイプアップすることでアプリを終了できる。

ファイル共有機能AirDrop

 Mac OS Xのファイル共有機能「AirDrop」がiOS端末でも使えるようになる。AirDropは、Wi-Fiあるいは Bluetoothで一時的なP2Pネットワークを構築し、写真や住所などのファイルを暗号化して転送する機能。共有したいファイルと相手(複数も可)を選び、数タップすればファイルを転送できる。ただし、ファイルを転送できるのはiPhone 5/第4世代iPad以降のiOS 7搭載端末のみ。この機能をデモして見せたフェデリギ氏は(Androidのファイル共有機能「Androidビーム」のように)「端末の背面を合わせたりしないで転送できる」と語り、会場の笑いをとった。

 ios 7 2

Safari──新しタブビューやiCloud Keychain

 WebブラウザのSafariは、フルスクリーンでのブラウジングに対応し、Google Chromeのモバイル版と同様に、下にスクロールすると検索枠が消える。立体的なカード状に表示される新しいタブビューでは、横にスワイプすることでページを閉じることができる。

 iCloud Keychainでネットサービスのユーザー名とパスワードを記憶してくれるので、Safariでサービスにログインする際、ユーザー名とパスワードを自動入力できる。また、新しいアカウントを作成する際、SafariのPassword Generatorで強いパスワードを自動生成できる。iCloud Keychainは、次期Mac OS「OS X Mavericks」もサポートする。

 ios 7 3 フルスクリーンのブラウジング画面(左)、新しいタブビュー(右)

新フィルタ追加のカメラと新分類方法搭載の写真

 カメラのユーザーインタフェースも大きく変わり、画面の下で動画、写真、Instagramのような正方形の写真、パノラマのどの方法で撮影するのかを選べるようになる。正方形の写真では、Instagramのようにフィルタをかけることもできる(フィルタは後で削除することも可能)。

 写真では、「Collections」「Moments」「Years」の3つの分類方法が適用され、撮影した場所と時間で写真をグループにまとめられる。例えばYearsではその年に撮影した写真と動画の小さなサムネイルがびっしり並び、そこから1枚を直接選ぶこともできるが、Yearsの中のCllectionsで絞り込んでから選ぶこともできる。

 ios 7 4 カメラの撮影画面(左)と写真のYears(右)

車のダッシュボードでiOSを使える「iOS in the Car」

 iOSの車載機能が、対応車種では車のダッシュボードで表示し、Siriで操作できるようになる。デモでは、ホンダや日産をはじめとする12のパートナーメーカーが発表された。対応車では、ナビゲーション、通話、音楽再生などをSiriを通じて利用できる。

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その他──性別を選べるSiri、Find My iPhoneの新機能

 Siriは、これまで国によって男性の声だったり女性の声だったりしたが、これがどの国でも性別を選べるようになる。画面の下に波長が表示されることで、自分の声が入力できているかどうかが判断できるようになる。また、情報ソースとして米MicrosoftのBing、Wikipedia、Twitterが追加された。

 紛失した端末を追跡し、場合によってはデータを消去する「Find My iPhone」機能に、Apple IDとパスワードを入力しないとアクティベートできない機能が追加された。

 ios7 6 波長が表示されるSiri(左)、データを消去したiPhoneのアクティベート画面(右)

 米国でのみ提供するストリーミング音楽サービスの「iTunes Radio」については別記事を参照されたい。

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