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乱立する電子書籍ストア、どう選べばいいの? 「kobo」「BookLive!」「honto」の注力分野を見る東京国際ブックフェア

» 2013年07月04日 17時17分 公開
[山崎春奈,ITmedia]

 タブレットの普及率は右肩上がり、専用端末の種類も増え、盛り上がりの続く電子書籍市場。一方、ストアは乱立し、ユーザーも分散している状況。どこを使えばいいのか迷うユーザーも多いのでは。「東京国際ブックフェア」(7月3〜6日、東京ビッグサイト)から「kobo」「BookLive!」「honto」3サービスの注力分野をレポートする。

「kobo」はラインナップ拡充に注力

photo 「kobo glo」

 楽天が運営する「kobo」が力を入れるのはラインアップの拡充。「現在はベストセラーの80%を配信できている状態。これを100%に持っていきたい」。公式サイトによると、日本語コンテンツの点数は6月時点で14万点以上という。

 強みは楽天ポイントを電子コンテンツの購入時にも利用できること。「楽天の他サービスを利用しているユーザーにも目を向けてもらいたい。ポイントをためることも利用することもでき、クーポンの配布なども積極的に行っている。お得感では負けたくない」(説明員)

 ブースでは、昨年11月に発売されたバックライト付きの6インチ端末「kobo glo」を展示。報道陣や関係者以外の一般来場者が比較的多い印象を受けた。年配の男性が説明員に「普段読んでいる本がすべてこの端末で読めるのであれば自分も試してみたい」「まずは何を買えばいいのか教えてほしい」などと声をかけている様子も見られた。

「BookLive!」は読者の利便性を重視 画像認識による書籍検索も

 凸版印刷グループの「Booklive!」は書店との提携に積極的に取り組み、6月には提携数が100店舗を突破。専用端末「Lideo」は三省堂書店などで購入でき、現実世界と電子書籍をつなげることにフォーカスする。7月1日にはインストールの必要がないWebブラウザ版ビューワーをリリースするなど、読書環境の多様化にも取り組み、今後も「読者の利便性を一番に考え」サービスを拡充するという。

 画像認識を利用した書籍検索アプリを参考出展。書籍の表紙を読み込むと書誌情報や「立ち読み」メニュー、電子書籍の購入ページへのリンクを表示する。ポスターやディスプレイ上の画像でも認識でき「極端に言えば、実際の本がない場所でも“本屋”にできる」(説明員)。アプリに搭載されたGPS機能により購入された書店を特定し、販売手数料を支払う仕組みも実装する予定だ。在庫切れによる機会損失を軽減し、狭いスペースでより多くの書籍を販売できるという。

 本だけではなく、観光地やランドマークもマーカーになる。観光スポットや名所旧跡などでランドマークを撮影すると、対象物に関連した書籍が表示され、その場で購入できるようになるという。展示されたデモでは、東京スカイツリーを撮影すると近隣の観光ガイドを、歌舞伎座を撮影すると歌舞伎に関する解説本などが表示された。「具体的にキーワードは思いつかないけれど何か知りたい、という気持ちをさまざまな方法で読書につなげていきたい」(説明員)。

photo 表紙を画像認識した様子
photo スカイツリーの模型でも認識可能

ハイブリッド型書店「honto」はコンテンツ搭載済み端末を開発中

 大日本印刷グループの「honto」は、ダウンロード型の電子書籍ストアと宅配型のオンライン販売のハイブリッド書店。丸善やジュンク堂、文教堂など提携のリアル書店ともポイントを互換し、店頭キャンペーンも連動する。

 コミックや小説のシリーズ全巻や、著名作家の全集をプリセットした電子書籍端末を開発中。書店店頭やオンライン書店でパッケージとして販売する。文庫本程度の5インチサイズを採用し、手に取りやすくした。搭載されたコンテンツによって本体背面をオリジナルデザインにするなどプレミア感を出す。

 「空の状態で端末を購入しても、読みたい本を検索したり、複数巻あるシリーズを1冊ずつ買うことを面倒に思うユーザーは少なくないはず。最初から好みや興味に合ったコンテンツをパッケージすることでまずは端末で読む事自体のハードルを下げられれば」(説明員)。

photo 書籍のようなパッケージの中に端末が
photo 搭載コンテンツに合わせた背面デザイン。「ケロロ軍曹」「涼宮ハルヒの憂鬱」の試作機

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