帝国データバンクが8月15日発表した大学発ベンチャー企業に関する調査結果によると、黒字化を達成している企業が過半数を占めたが、創業5年以内に限ると3分の2が赤字になっていることが分かった。「多くの不安定要因を抱える大学発ベンチャーの早期の黒字化は難しい」「政府の効果的な予算執行が求められる」としている。
大学発ベンチャー企業の大半が2000年以降に設立されており、特に小泉政権下で「大学発ベンチャー1000社計画」を実施した、2002〜2004年度の増加が著しい。設立時期で見ると、2003年が64社で最多で、2011年では12社とピーク時の5分の1以下となった。
業種別のトップはサービス業の258社(48.1%)で全体の約半数。ソフトウェア受託開発(57社、10.6%)などIT関連企業や、特許やノウハウを扱う技術提供業や経営コンサルティングなどが多くを占めた。次いで、製造業(190社、35.4%)、卸売業(71社、13.2%)が続いた。業種を問わず、医療機器や医薬品に関わる企業が多く、大学での研究と親和性が高い分野に集中している。
2012年の売上高を見ると、1億円未満の企業が360社(67.2%)と7割近くになり、うち251社が5000万円未満。同年の損益が判明している304社のうち、黒字企業は54.6%の166社。初期段階の開発面がかさみ、営業面でも出遅れるケースの多い創業5年未満の企業の3分の2が赤字であるのに対し、創業10〜15年の企業は約6割が黒字となった。
同社は調査結果を受け、「かさむ研究費用や、経営者としての経験の有無など、多くの不安定要因を抱える大学発ベンチャーの早期の黒字化は難しい」「有形、無形を問わず、行政や大学側の支援が必要な半面で、政府には、効果的な予算の執行が求められている」とコメントしている。
調査は、2012年の売上高が判明している全国の大学発ベンチャー536社を対象とした。
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