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Google、東日本大震災の被災地ストリートビューに「震災2年後」追加 「復興の過程も残したい」

» 2013年09月04日 16時37分 公開
[山崎春奈,ITmedia]

 Google日本法人は9月4日、東日本大震災で津波の被害を受けた地域のストリートビュー画像の更新と一部地域の新規公開を開始した。震災前、震災直後、震災3年目──の最大3時点の画像で、同じ場所から見える光景を比べることができる。

photo 宮城県岩沼市早股前川付近の時系列変化

 2011年7月に開始した東日本大震災デジタルアーカイブプロジェクトの一環。岩手県6市町、宮城県11市町、一部新規エリアを含む福島県12市町村、茨城県6市町村)のストリートビュー画像を更新・公開した。同プロジェクト特設サイト「未来へのキオク」では、「震災前」「震災直後(2011年撮影)」「震災3年目(2013年撮影)」の3つの時点の撮影画像を比較しながら町並みを見ることができる。

 今回、新規に公開されたのは福島県の8市町村。飯舘村や大熊町、双葉町、南相馬市など、いずれも被害が大きく、福島第1原発の影響で現在も帰宅が制限される避難指示区域だ。「徐々に一時帰宅が可能になりつつあるとはいえ、15歳以下の児童の立ち入りは現在も禁止されているなど、『2年半、一度も我が家や思い出の場所を見ていない』住民も多い。ストリートビューで提供することで記憶を風化させない一助となれば」(プロダクトマネージャー 河合敬一さん)

 震災で被害を受けた施設や建物の外観や内部を撮影・記録する震災遺構デジタルアーカイブにも、岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」、宮城県東松島市の鳴瀬第二中学校、宮城県塩竈市の松亀園の3つを追加。公開施設は計76カ所になり、今後も撮影の要請に応じていくという。

photo 津波で全壊した様子が生々しく残る鳴瀬第二中学校

 プロダクトマネージャーの河合敬一さんは「復興の基本は正しい地図から、がまず一番重要なミッション。被災地の当時の姿を残すのはもちろん、まさに新しい町が作られている復興の過程も残したい。地図や町並みだけでなく、史料としての価値はあるが取り壊さざるを得ない建物などもきちんと記録し未来へ遺していく。会社と製品がある限りプロジェクトは続けていきたい」と今後も継続的に推進していくとした。

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