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楽天が買収した“動画のWikipedia”「Viki」とは ユーザーが字幕投稿、即座に世界配信 三木谷社長「これは革命」(2/2 ページ)

» 2013年10月18日 18時43分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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海賊版の流通防止にも

 ユーザーコミュニティーによるスピーディーな翻訳は、海賊版の流通防止にも役立つという。母語版の映像が公開されてから数日で翻訳版をネット配信でき、海賊版が流通する前に正規版の翻訳コンテンツを公開できるためだ。実際に中国で正規コンテンツの配信に成功した事例もあるという。Vikiの字幕付き映像をそのまま、DVDとして売り出したケースもあるそうだ。

 新たな言語の字幕が増えるたび視聴者が増えるため「収益が得られる期間が長くなる」とも。コンテンツホルダーは、どの言語の翻訳がどれほど視聴されたかというデータも得られるため、海外の放送局向けコンテンツ提供のヒントにもできるという。

 Vikiのマネタイズ方法は、(1)動画に広告を付ける、(2)字幕付き動画をほかのプラットフォームに有料配信する、(3)ユーザー向けに有料サービスを展開する――など。広告のクリック率は、ほかの動画サービスよりも高いとしている。楽天との連携案として、翻訳に参加したユーザーに報酬として「楽天スーパーポイント」を得られる仕組みも検討しているという。

思い立ってから1カ月 即座に買収完了

 三木谷社長がVikiを知ったのは、今年8月10日ごろ。バーベキューパーティの席で、Vikiの投資家の1人である伊藤穰一氏からホバギミアン氏を紹介されて興味を持ち、実際にサービスを使ってみたところ、「これは革命だ」と感じて素早く買収に動き、8月末にはクロージングしたという。ホバギミアン氏は「最初は売りたくなかった」が、話を進めていくうちに「win-winになる」と考え売却を決めたという。

 楽天は02年、USENと共同で動画配信サービスのShowTimeをスタート(のちに完全子会社化)。11年にはカナダKoboを買収し、電子書籍配信事業に参入した。12年にはスペインの動画サービスWuaki.TVを買収するなど、動画事業のグローバル化も進めてている。

 「ネットショップや金融分野で、常識を打ち破って新しいサービスを展開してきた」と振り返る三木谷社長。次は電子コンテンツに力を入れたいという。「電子コンテンツビジネスはネットショップよりさらに革命的だ。ネットショップは、最後には物を運ばなくてはならないが、コンテンツはネットを通じて世界のどこでも、何の壁もなく広く流通させられる」

 グローバルな動画サービスは、世界平和につながると三木谷社長は語る。「世界中のコンテンツを世界中の人が見ることでさらなる共通理解が深まる。最近は外交問題もいろいろあるが、お互いの国をよく知ることで世界平和にもつながるのでは」

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