アニメ化や映画化とは違う形の「映像化」はこれまでにない取り組みで、2010年のサービス開始当初はどんな反応が来るかもわからなかったという。老若男女問わず親しみのあるマンガは、携帯電話という一番身近で接触時間が長い端末で目をとめてもらうフックになりやすく、予想以上の速さで受け入れられたと森下課長は振り返る。
出版社や制作会社とは、制作当初の権利料のほか、視聴回数に応じてレベニューシェアするモデルを採用し「コンテンツ利用における新たなビジネスモデルの1つとして確立しつつある」(森下課長)という。制作に携わる東通も「数量カウントできるITデバイス上のコンテンツならではの、従来のテレビ番組制作などとは違う発想。“テスト段階”から現実的なスケールとして評価できるフェーズに入ってきたと考えている」と期待を込める。
森下課長は、「マンガ自体にコンテンツとしてパワーがあるので、それを忠実に再現することに一番力を入れている。やっていることは原作の力を引き出し、より楽しんでもらいやすい環境を整えているだけ」とこだわりを話す。実際の制作現場でも、少しでも本文のセリフと異なるとやり直し、擬音で描かれている息遣いまで収録する完全再現っぷり。アニメ化や実写化と異なり「原作のイメージが壊されることがない」というのも人気の理由のようだ。
今後は、ジャンルをまたいだサービス内の回遊促進を狙う。人気コミック「午前3時の無法地帯」は、昨年12月から全15話を毎週「Beeマンガ」で配信。更新終了と前後して、3月から同作品の実写ドラマを本田翼さんとオダギリジョーさん主演で配信開始し、「Beeマンガ」の視聴者をドラマに誘導できたという。
「マンガはあくまでコンテンツの1つ、そこから先の出会いを提供できるか。ジャンルにとらわれずに番組をそろえるプラットフォームだからこそ、短尺の映像を連鎖的に楽しむというスマートフォン時代の映像鑑賞の新しい習慣を作りたい」(森下課長)
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