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売れる「嫌中本」? かたや中国はそんな日本をどう見ているのか──その4つのタイプ(1/3 ページ)

» 2014年03月26日 13時00分 公開
[山谷剛史,ITmedia]

 「書店で愛国・反中反韓本コーナーができている」「中国・韓国のヘイトスピーチのような記事が読まれるのでメディアに供給される」──Twitterやブログなどでこうした指摘について議論が起きている。2月の都知事選では保守色の強い田母神俊雄氏が60万票を獲得したこととも合わせ、「ネット保守」「ネット右翼」が話題になった。

photo 中国では本屋にはないが、雑誌スタンドには抗日コンテンツがある

 見たところ、日本のネットでこうした議論が盛り上がると中国でも盛り上がり、その後日本でさほど話題にならなくなると、同じように引いていった。中国では書店に「反日本」コーナーはないが、雑誌・新聞スタンドでは反日系雑誌や新聞はよく見かける。ポータルサイトでも最近は日本のニュースは少なくなっているが、日本の政治の動きはよく掲載されている。

 日本で指摘されている中国関連書籍や中国についての記事についてフォローしておくと、“ヘイトスピーチ”だと批判された中国関連書籍の多くはヘイトスピーチとは言えず、しっかり自らの足で取材した内容だ。そして、その多くは「だから中国を見下せ、離れろ」というのではなく「中国の一面を知ったうえで、どう中国と接するか、ないしはどう自省するか」という論旨になっている。

photophoto 地下鉄駅にもニュースを報じるモニターがある

 だが声が大きければ目立つのは書籍のコーナーも同じ。ヘイトスピーチのようなタイトルの本が目立てば、他の本も同じように見えてしまう。読者が望む結果、出版社としては「ニーズのある本をツカミのあるタイトルで出し」、書店側は「相対的に売れている本をコーナーとして出している」という状態だ。

 かたや日本のメディアに掲載される中国のB級ニュースは、元ネタの多くが中国現地で実際に掲載された記事である(単なる想像の可能性もあるブログが引用元の記事もある)。中国のポータルサイトでは日々、モラルの低さに端を発する小さな事件を扱うことが多く、現地でも「なぜこれほどまでに中国メディアでは中国のしょうもないネガティブなニュースが多いのか」ということをつぶやく人がいる。

 数年前のことだが、メディア「中国青年報」が実施した報道に関する世論調査に対し、「一部の大学生の問題をあたかも大学生全体の問題かのように取り上げる記事が多くなった」とネットユーザーが回答した。この調査結果を受けて、あるメディアは「確かに一部の大学生のモラルが下がっているという一面はあるが、それよりも大学生は金も権力もなく、対象として叩きやすい現状がある」と分析した。

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