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売れる「嫌中本」? かたや中国はそんな日本をどう見ているのか──その4つのタイプ(2/3 ページ)

» 2014年03月26日 13時00分 公開
[山谷剛史,ITmedia]

日本に対する態度の4つのタイプ

photo メディアは米国関連情報を伝えることが多いが、検索数では日本の注目度は高い

 さて、中国ではGoogleをまともに使わせてくれないが、代わりに百度(Baidu)が人気である。Google Trendsの百度版「百度指数」で検索傾向を調べると、「日本」という検索ワードは、常に「美国」(アメリカ)よりも「韓国」よりも、どの国よりも多い。日本はネットユーザーにとって、最も関心のある国のようだ。

 ただし百度で「日本」と検索してみれば、サジェストされるキーワードは「セクシー女優ランキング」など、ポルノコンテンツにまつわる話題ばかり。日本の風俗産業やそれに絡む女性の話題は人気なのか、多くのサイトで「日本人女性のセクシーな実態!」といった感じの記事へのリンクを見かける。日本への旅行や日本経済、日本語に興味を持つ人もたくさんいるが、それ以上にポルノコンテンツを望む人が多いようだ。

 日本に対してのスタンスで中国人を分類すると、大きく「日本嫌い」「日本どうでもいい」「日本好き」「日本住み」──の4類型があるように思う。

photo 日本の「ネット右翼」(網絡右翼)に関するニュース

 まず「日本嫌い」。これは反日ドラマを見たり、中国で報じられる日本の政治や軍事ニュースを見て、妄想して怒っている「憤青」ないしは「糞青」と呼ばれる人々だ。彼らは積極的に中国発の国際ニュースチャンネルや、軍事ニュースサイトを見て、特定の掲示板で日本がいかにひどい国かを語り合い、日本に対してヘイトスピーチを書きなぐる。この辺は「中国政府、自国の“ネット右翼”に困惑し始める 嫌がる人も多い“憤青”」に詳しく書いた。

 これに対し、近年は「日本どうでもいい」派が増えた。「日本嫌い」の勢力は小さくなり、「日本どうでもいい」派の勢力が最大となっている。彼らは必要があれば日本製品も買うし、日本旅行にも行く。できるだけ冷静中立でいたいと思っている。しかし積極的にニュースは見ないが、移動中の地下鉄やバスのモニターのニュースや、ポータルサイトにしばしば登場するニュースを見ると、どうしても日本が好戦的であるように見えてしまう。

photo 中文による2ちゃんねる

 「日本好き」は、中国メディア発の日本の政治ニュースに目をつぶり、ゲームやアニメやファッションなどの趣味のページだけを見る人々である。数年前までは家電でもPCでもケータイでも日本のメーカーの製品は羨望の的で、IT系ファンも存在し、日本のIT事情や最新製品のニュースが中国で掲載されれば、一定の反応はあった。しかし今では中国メーカーが台頭し、中国のメーカーでもいいじゃないか、という雰囲気になっていて、日本の新製品発表の記事でも反応は薄い。

 中国のゲームやアニメ好きは、積極的にイベントに参加したり、SNSの親日グループに参加したり、ニコニコ動画に似た「bilibili動画」にアクセスしたりして交流を深める。日本のアニメを見たり、ゲームを遊ぶだけでなく、「2ちゃんねる」のやりとりや、ボーカロイドなど草の根情報にもアンテナを立てる。ただしアニメやファッションという側面でしか見ておらず、日本を美化しすぎるきらいがある。またお金がない学生が中心で、社会人になって金をもつと、社会人としての消費を覚え、日本のコンテンツから離れてしまう人が多いため、年齢層は学生層が中心となる。

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