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重力波の直接観測目指す「KAGRA」、総延長7.7キロのトンネル掘削が完了

» 2014年04月02日 20時25分 公開
[ITmedia]

 東大宇宙線研究所などの共同プロジェクトが岐阜県飛騨市神岡町に建設を進める大型低温重力波望遠鏡「KAGRA」のトンネル(総延長7.7キロ)の掘削がこのほど完了した。2015年末に試験観測を始め、17年度から重力波の観測を開始。世界初となる直接観測を目指す。

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 KAGRAは、重力波の到来で2点間の距離がわずかに伸縮するのをとらえる「長さ計測装置」(長さ3キロのレーザー干渉計×2で構成)。だが、連星中性子星の合体などで発生する重力波でも「地球と太陽間の距離を水素原子1個分変化させる程度」。またこうした天体現象は銀河系で10万年に1回程度しか発生しないため、より多くの銀河について超高精密に観測する必要がある。

 本体トンネルは地下200メートルより深い場所に掘削された。重力波望遠鏡としては世界で初めて地下に設置されるのは、地上に比べノイズになりうる地面の震動が小さいため。また装置は20ケルビン(マイナス253度)まで冷却し、「熱雑音」も低減する。

 設置される「池ノ山」(旧神岡鉱山)は同研究所のニュートリノ観測装置「スーパーカミオカンデ」でも知られ、非常に硬い岩質を含む山であることなどから選ばれた。

 重力波は一般相対論で予言され、最近、インフレーション時に発生したと考えられる原始重力波の痕跡とされるものが南極の観測施設で見つかったことが話題になった。だが直接観測にはいまだに成功しておらず、KAGRAへの期待は高い。

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