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新生ビッグローブ「ほぼスマホ」で攻勢 音声通話・MNPに対応 腕時計型デバイスも開発中

» 2014年04月08日 15時42分 公開
[山崎春奈,ITmedia]

 ビッグローブは4月8日、データ通信と端末のセットプラン「ほぼスマホ」で、7月をめどに「090」番号による音声通話機能やMNPに対応する予定だと発表した。同社はNECによる売却に伴い4月1日付けで社名変更。格安SIMカードでは値下げ合戦が続くが、「単なる価格競争に陥らないよう、連携サービスやデバイスを強化したい」と古関義幸社長は話す。腕時計型のウェアラブル端末のプロトタイプも公開した。

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 「ほぼスマホ」の新サービスはオプションとして提供。「090」番号を使える上、MNP(番号ポータビリティ)に対応するため、乗り換えも可能になる。料金などの詳細は未定という。

モバイルで100万会員目指す

 新生ビッグローブは、「サービス」「ネット接続」「端末」の3つをキーとして掲げる。ネット接続は、(1)家庭向けの光回線、(2)SIMカードなどのモバイル分野、(3)公衆Wi-Fiスポット――の3つの側面で強化。他社の通信インフラを用いてサービスを提供するVNO(バーチャルネットワーク事業者)である強みを生かし、BIGLOBEブランドとして一元的に提供することで、より便利に快適なインターネットが楽しめる環境を作りたいという。

photo 「ネット接続」事業全体像

 モバイル分野は、月額900円(税別)で下り最大150Mbps/上り最大50MbpsのLTE通信1Gバイトまで&全国のWi-Fiスポットを使えるSIMカード「エントリープラン」や、同プランと端末をセットした月額2776円(税別)からの「ほぼスマホ」が好調だ。通信料金を抑えるニーズや、安価に2台持ちをする手段として支持を伸ばしており「市場全体として右肩上がり」(古関社長)と期待する。現在20万弱のユーザー数を、2016年度末には100万人まで伸ばしたいという。

 2月に提供を始めた「ほぼスマホ」の契約数はすでに数千台規模となり、当初予想を上回るペース。MNPや音声通話への対応でユーザー拡大を見込み、現在提供している「AQUOS PHONE SH90B」に加え、端末の拡充も検討していく。

単体でLTE通信可能な腕時計型デバイス

photo 古関義幸社長。腕にはウェアラブル端末のプロトタイプが

 価格競争に陥らず支持してもらう手段として、サービスや端末の充実にも力を入れる。古関社長が披露したのは、2年前からあたためていたという腕時計型ウェアラブル端末のプロトタイプ。Androidを搭載し、Bluetoothではなく3G/LTEで通信し、スマホやタブレットを経由せず単体でサービスを利用できるのが特徴だ。年内の製品化を目指して開発を進めている。

 「2年前に構想を始めた頃は技術的に難しかったものが、ほんの数年の技術の進化で可能になった。未来の新しいサービスを考えていると『今あるスマホではしっくりこない』というケースがいくつもある。腕時計型のデバイスでLTE通信ができれば面白いことがまだまだできる」(小関社長)

 4月1日付けで社名からNECの冠がとれ、日本産業パートナーズが経営母体となった同社。小関社長は「経営陣や社員、事業も変わらず、逆に言うと変わった部分は社名くらい。これまでもグループとはいえ独立して事業運営をしていたので大きな変更はない。3〜5年をめどに上場したいというのが今の希望」と話している。

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