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電子黒板に1人1台のタブレット 中学でIT活用授業の実証研究スタート

» 2014年04月21日 18時26分 公開
[ITmedia]

 東京都目黒区教委は、中学で生徒1人ずつにタブレットPCを支給し、電子黒板などと連動させ最新IT環境を活用した授業を行う実証研究プロジェクトを同区立第一中で始めた。日本マイクロソフト、NEC、NTT東日本と共同で行うもので、21日には報道機関向けにタブレットを活用した模擬授業を行った。

photo 1人に1台のタブレットPC

 昨年7月に共同研究プロジェクトを発足し、実施に向け機器や環境の整備を進めてきた。2教室に無線LAN回線とWindows 8.1 Pro搭載の電子黒板を設置し、NEC製のタブレットPC「VersaPro J タイプVT」は3月末時点で70台の導入が完了。カリキュラム監修者として専門家も参画し、教員への研修なども含め、ICTを活用した効果的な指導方法の開発に取り組む。

 昨年度中から創作ダンスの授業で録画機能を使ったり、社会科のプレゼンテーションの資料作りをグループで行うなどでテスト利用しており、1台を囲んで意見を出しあうコミュニケーション機会の増加や、資料作成というアウトプットを目標にすることでの論点整理の促進などが見られたという。4月から本格的に指導研究を始め、期間は来年3月までの1年間を予定。状況により延長も検討する。

photo クラスメイトの回答が電子黒板に並ぶ
photo 校内で発見した植物をクラス全員で白地図にマーク

 模擬授業では、電子黒板と1人1台のタブレットPCを使って1年生の理科の模擬授業が行われた。各記者に1台ずつ割り当てられたタブレットPCに解答を書き込むと電子黒板に同時に表示されたり、1枚の白地図にクラス全員で同時にマークを付けていくなど、教員が一方的に生徒へ情報を与えるだけでなく、生徒同士で情報を発信・共有する機会が多いのが特徴だ。

photo 伊藤惠造校長

 伊藤惠造校長はタブレットPC活用の魅力として、(1)録画機能や映像アーカイブを活用できる再現性、(2)情報を共有する効率性、(3)数値や資料をビジュアルで見られる分かりやすさ、(4)個々の理解度に合わせて学べる個別対応、(5)生徒同士の学びを促進する共同学習――などを挙げる。予習復習などの自宅学習でも機器を活用する「持ち帰り学習」も考えていきたいとしている。

 区教委の佐伯英徳教育指導課長は「学力向上はもちろん、テクノロジーへの親しみや主体的に学ぶ姿勢を育てることが大きな目的。同校での研究を踏まえ、教育現場でのICT活用に区としてどのように取り組むかの大きな判断材料にしたい」と話している。

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