メッセージングツールである「QQ」や「WeChat」などでユーザーの高い支持を集め、今や中国インターネット企業の最大手と呼ばれるまでになったTencent。前回の記事では、深セン本社への取材などから同社の素顔を紹介した。
今回は、QQ事業の統括責任者である湯道生(Dowson Tong)シニアエグゼクティブ・バイスプレジデントへのインタビューをお届けする。Dowson氏は、ミシガン大学およびスタンフォード大学での留学を経て、米Sendmail、米OracleといったエンタープライズIT企業で長らく勤務した経験を持つ。
――2005年にTencentに入社してから、これまで取り組んできたことを簡単に教えてください。
Tencentには、主に製品プラットフォームや技術開発の面で責任を持つ立場として入社しました。当時の課題として、ネットワークの遅延などによるユーザーからの不満がありました。この問題を技術的にどう解決するかが最初に取り組んだことです。また、サービス面では、ソーシャルネットワーキングサービス「QZone」をゼロから立ち上げました。
その後、ソーシャルネットワーキングプラットフォームおよびオープンプラットフォームの責任者となり、現在に至ります。
――社員の半分がエンジニアだと聞いています。Tencentの技術的な強みは何ですか。
端的に言うと、アイデアを実現できる技術力でしょうか。たとえ優れたサービスのアイデアがあったとしても、それを実現できないと意味がありません。実現する上で必要なのが技術です。Tencentは、そのために技術者を数多く採用するとともに、技術力を高める努力を惜しみません。例えば、社員教育機関である「Tencent Academy」でも技術力を高めるトレーニングや、技術のノウハウ伝承のための講義などを用意して、技術者の育成に力を入れています。
Tencentのサービスは、インターネットだけでなく、さまざまな領域の知識や技術が求められます。こうした技術があるからこそソリューションを生み出せるわけですし、ユーザーが抱えるさまざまな問題を解決できるのです。
――サービスを支えるシステムへの投資はどのくらい行っているのでしょうか。
年間で数十億元を投資し、その額も増え続けています。投資に対する考え方としては、既に起きている問題を解決するためでなく、新たな技術に先行投資することで、一歩先を見据えたソリューションをあらかじめ構築しておくという具合です。
具体的には、ネットワークなどインフラへの投資を積極的に行っています。QQをはじめとするTencentのサービスの強みの1つは、データ転送に関する技術だと考えています。音声や写真、映像など大容量データのファイルをスピーディーに送信できる点をユーザーに高く評価されており、その結果、コンシューマーユースだけでなく、企業でのビジネスコミュニケーションツールとしても活用されています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR